アメリカ共和党と民主党の違いを具体的な対立点と歴史的経緯からわかりやすく解説

政治用語の違い

2018年に行われたアメリカ中間選挙以降、対立を深める共和党と民主党の違いについて、”支持層”、”妊娠中絶問題”、”医療保険制度”、”外交スタンス”、”地球温暖化に対する取り組み”等の具体的な対立点や歴史的経緯をもとにわかりやすく解説します。


★日本と大違いの2大政党制

日本でもアメリカに倣って、自由民主党と民主党(現立憲民主党)による2大政党制の導入を試みましたが、これまでのところ、うまく機能しているとは言い難い状況です。

日本では、国民の間に政策をめぐる深刻な対立がさほどないのに、まず政党という器から入ったことがうまくいかない理由だと指摘する専門家もいます。

一方、アメリカでは、共和党支持層と民主党支持層では、妊娠中絶や医療保険制度といった国の基本的な制度やライフスタイルについての考え方に大きな隔たりがあるため、大統領選挙や中間選挙を通じて、毎回厳しい論戦が戦わされます。

共和党と民主党の政策や国家運営に関する違いは、日常生活に係ることから国家のあり方に至るまで、支持層の考え方に根本的な対立があるために生じています。

現代のアメリカで、共和党と民主党の具体的な対立は以下のようなものです。


■アメリカ共和党と民主党の対立点

★大きい政府か小さい政府か

共和党が伝統的に”小さな政府志向”なのに対し、民主党は”大きな政府志向”です。

小さな政府とは”政府はあまり国民生活や企業活動に関与すべきではなく、できるだけ自由にすべきだ”とする考え方です。

共和党がこうした考えをする背景としては、アメリカにはそもそも建国当初は中央政府がなく、地方単位の州政府だけしかなかったということが大きく影響しているようです。

対して、大きな政府とは”政府は貧困者やマイノリティーにも広く手を差し伸べ、できるだけ国民生活に関与すべきだ”とする考え方です。

オバマ大統領がその任期中に取り組んだオバマヘルスケアは、典型的な”大きな政府志向”に基づく政策でした。

”小さな政府志向”の共和党政権であるトランプ大統領は、早速、オバマヘルスケアの廃止もしくは全面的な見直しを明言しています。

オバマヘルスケアは、日本の国民健康保険制度とほぼ同じ制度です。

共和党支持者は、オバマヘルスケアについて”なぜ他人の健康のコストを負担しなければならないのか、健康管理は自己責任であるべき”として強く反対しています。

国民健康保険制度について与党と野党とで、制度自体の存続について対立がない日本とアメリカでは根本的に政治状況が異なります。

要するに国民にお節介を焼きたがるのが民主党で国民を放任しがちなのが共和党です。

★妊娠中絶を巡る対立とその背景

日本の国政選挙や党首選挙で妊娠中絶が争点となったことはこれまで一度もありません。
一方、アメリカでは大統領選挙のたびに重要な争点となります。

妊娠中絶について共和党は反対、民主党は賛成の立場をとります。
この対立はそれぞれの支持層の考え方の違いから生じています。

共和党には、有力な支持基盤としてキリスト教保守派がありますが
この層に属する人々は妊娠中絶を”神に対する冒涜”として強く反対しています。

対して、民主党の有力な支持基盤となる進歩的な女性層は、妊娠中絶について
”女性に与えられた当然の権利”として擁護・賛成しています。

両者の考え方は、水と油のような関係ですので修復・和解するということはあり得ません。ですので、大統領選のたびに重要な政策テーマとなるのです。


★国際関係に対する考え方の違い

アメリカ共和党は、伝統的に反共産主義というスタンスのため、共産主義の流れを汲む中国やロシアには強硬な姿勢をとりがちです。

トランプ大統領の中国に対する強硬な姿勢も共和党的といえます。

対してアメリカ民主党は、伝統的に親中国的で、共産主義国や左翼主義的な政権に対して融和的です。

実際に、オバマ大統領は、長年にわたり、敵対関係にあった共産国のキューバとの国交を回復させました。

オバマ時代、中国を対等なパートナーとして扱ってきたことで中国が増長、現在のアメリカとの貿易戦争の下地が作られたという見方もできます。

政策的な観点からは、民主党政権が対話重視・国際協調を基調とするため伝統的に外交重視、共和党政権は、外交より軍事力重視という違いがあります。 

トランプ政権になってから、軍事費を増大させる一方、国務省(外務省)予算を削減したり、重要な国際会議に度々欠席する等、外交に熱心ではないのは、トランプ個人の資質によるものもありますが、共和党的な動きということがいえそうです。

★地球温暖化に対する考え方の違い

オバマ大統領の民主党政権時代は、”地球温暖化”について熱心に取り組みましたが
共和党は、そもそも”地球温暖化”に懐疑的です。

共和党は支持基盤であるアメリカの大手石油会社や自動車会社といった大企業と強いつながりがあるため、これらの企業にとって不利益となる”地球温暖化問題”には冷淡です。

また、共和党の根底に流れる”人間のすることだけで神が創造した地球が温暖化する”はずがないという考えから、積極的に取り組まないといわれています。

一方、”究極の正義”という言葉を好んで用いる民主党は、”地球温暖化”は人間の手で解決できると考え、温暖化に限らず環境問題全般に熱心に取り組みます。

「不都合な真実」での環境啓蒙活動が評価され、IPCCと共にノーベル平和賞を受賞した民主党クリントン政権時代に副大統領を務めたアル・ゴア氏はその象徴的な存在です。

★人権に対する考え方の違い

伝統的に民主党は人権重視というスタンスです。
民主党のカーター大統領時代には、”人権外交”を繰り広げました。

こうしたスタンスから、中国における人権侵害等の人権問題には、民主党政権は共和党よりはるかに厳しい姿勢で臨みます。

対して共和党は、伝統的に人権はそれほど優先順位が高い政策課題としていません。

このようなことから、中国政府は、前回の大統領選挙では、当選すると人権について煩いことを言ってくる可能性が高いヒラリー氏より、トランプ氏の方が組しやすいと考えて、肩入れしてきました。

しかし、その後、トランプ氏は中国に対して人権については注文をつけていませんが、その代わりに経済について厳しいスタンスで臨んでいます。 このような人権よりビジネスというところも共和党的といえます。


■アメリカ共和党 民主党支持層の違い

アメリカ共和党と民主党では支持基盤が全く異なります。

人種からみた違いとしては、共和党が白人に支持基盤があるのに対し
民主党は、黒人・ヒスパニック等、アメリカでは少数派とされる多様な人種から支持されています。

両党の支持基盤には、下記のような違いがあります。

★アメリカ共和党の支持基盤

白人
大企業関係者
キリスト教保守派
石油会社等伝統的な大企業

★アメリカ民主党の支持基盤

黒人・ユダヤ人・ヒスパニック・アジア系人種
労働組合
女性
IT関連企業

かつて民主党のクリントン大統領は、”多様性こそアメリカの強みだ”と演説したことがあります。
対して、共和党のトランプ大統領は、”多様性をもたらす移民”に反対の立場で、白人優位主義的なところがあります。

良くも悪くもアメリカで2大政党制が機能しているのは、2党間に人種問題という根源的ともいえる対立があるからです。

また、民主党は一般的にニューヨーク等の都市在住者に支持が多く、
逆に農業が盛んな地域では共和党が伝統的に強い等、アメリカの地域によって支持率が大きく異なります。

ちなみに前回の大統領選挙で、日本の報道機関が”ヒラリー有利”と最後まで読み間違えた理由として、アメリカにおける取材拠点がもともと民主党支持が多いニューヨーク等の都市に偏っていて、トランプ大統領の支持基盤となったアメリカの農村地帯を中心とした田舎の動向をウオッチしていなかったからだとされています。


■アメリカ合衆国最高裁判所にも民主党と共和党の2党対立

日本の最高裁に相当するアメリカ合衆国最高裁判所を構成する最高裁判事は長官を含め9名です。

2018年に中道派のケネディ判事が退任。

後任として、トランプ大統領の意を受け、保守派のカバノー氏が就任しました。

この人事により、それまで リベラル派(民主党寄り)4名、保守派(共和党寄り)4名に中道派1名とバランスがとれていましたが、下記のように保守派が5名と過半数を占めることになりました。

女性の判事は全て民主党政権が任命と女性重視の民主党らしさが人事にも現れています。
一方、白人男性の3氏がいずれも共和党政権が任命していることにもらしさが出ています。

★アメリカ最高裁判事の党派別構成(2019年現在)

クラレンス・トーマス 保守派

ルース・ベイダー・ギンズバーグ リベラル派(女性)

スティーブン・ブライヤー リベラル派

ジョン・ロバーツ 長官 保守派

サミュエル・アリート 保守派

ソニア・ソトマイヨール リベラル派(女性)

エレナ・ケイガン リベラル派(女性)

ニール・ゴーサッチ 保守派

ブレット・カバノー 保守派

日本の最高裁の判事は、政治的に中立であることを求められるのに対し、アメリカ最高裁の判事は、時の大統領が任命するため、民主党政権の時には必ず、リベラル派が、共和党の大統領の時には保守派が必ず任命されます。

政治的な判断を回避しがちな日本の最高裁と異なり、アメリカでは、最高裁は国民の意見が2分されるような”同性婚の裁判”についても合憲か違憲か踏み込んで判断します。

つまり、”同性婚の裁判”について、アメリカ最高裁の判断を求められた場合、
その時に保守派が判事の多数であれば違憲。 リベラル派が多数であれば、合憲となるのです。

日本の最高裁でA判事が自民党寄り、B判事が立憲民主党寄りだなんてことはあり得ませんし、
もしそのような政治色を出せば、衆議院選挙の際に行われる最高裁判所裁判官に対する国民審査によって罷免されてしまいます。

このように共和党と民主党の対立は、司法の場にも及んでいるのです。


■大統領選挙の候補にみるアメリカ共和党 民主党 違い

JFケネディ、クリントン、オバマ大統領と過去、アメリカでは40歳代の大統領が3人誕生しています。

この3氏は全て民主党の大統領です。

共和党では、これまで40歳代の大統領候補さえ誕生していません。

なぜ、民主党だけに40歳代の大統領が誕生するかというと

民主党の政治信条であるリベラルの”年齢、男女別、人種なんか関係ない”、”能力があるなら年齢は関係ない”という考え方からです。

ヒラリーが大統領候補になれたのもリベラルだからこそです。

さらに、民主党が”究極の正義の実現”を掲げているためか、オバマ、クリントン、ヒラリーと弁護士出身者から大物政治家を輩出していることも特長です。

一方の共和党は、史上最高齢での大統領就任となったトランプ氏やそれまでの高齢大統領記録を保持していたレーガン氏等、民主党に比べ高齢層から大統領候補が登場します。

共和党の政治信条である保守(コンサバ)は、リベラルとは異なり、”40歳じゃ経験不足、10年早いよ、若すぎる”、”女性に大統領が務まるのか”となりがちで若い大統領候補や女性の候補が登場しにくい政治土壌となっているのです。

ちなみに、日本の基準では、アメリカ政治における保守はもちろん、リベラルも左翼抵抗勢力ではなく保守勢力に分類されます。

いうなれば、自由民主党の右派が共和党、左派が民主党のような位置づけになります。


■戦争をめぐるアメリカ民主党と共和党の違い

最近のアメリカ政治の動向から考えると民主党政権=平和志向、共和党政権=好戦的と思われがちですが、歴史的にみると民主党政権の時に大きな戦争が引き起こされています。

★第二次大戦

民主党政権
ルーズベルト大統領・トルーマン大統領

★朝鮮戦争

民主党政権
トルーマン大統領

★ベトナム戦争

民主党政権
ジョンソン大統領

上記のように第二次大戦以降の大きな戦争は、全て民主党政権の時に引き起こされています。
また、全世界が核戦争寸前と恐れたソ連(現ロシア)とのキューバ危機の時の大統領も民主党のケネディ大統領でした。

このように、過去の歴史からすると民主党の方が好戦的といえるのです。

オバマ大統領は、任期中、紛争や戦争について”大義名分のない戦争はしない”とことあるごとに述べていました。

逆にいうと”大義名分があれば戦争をする”ともいえ、”究極の正義の体現者”を自認する民主党政権のほうが”正義は我にありと激怒しがち”で戦争を起こしやすいという見方がされています。

実際、民主党政権からすると正義の戦争と位置づけられている第二次大戦時における広島・長崎への原爆投下を含めた戦争被害については、今に至るまで謝罪はしていません。

民主党は、普段は人権重視といいながら、いざ戦争になると原爆を使用したり、ベトナムで枯葉剤を散布して多くの被害をだしても、謝罪すらしない2面性があるといえます。

つまり、民主党政権が行う戦争は全て、”正義の実現のために行う”ので、その結果生じた戦争被害については、謝罪する必要はないというスタンスです。

以上のようなことから、民主党は、イスラム原理主義になぞらえれば、アメリカの市民社会が世界最高だとする”アメリカ市民社会原理主義的”な政治志向があるといえます。 だからこそ、いざ戦争になると徹底的に相手をやっつけようとするのです。

”普段は温和だが一度怒らせると怖い”のが民主党ともいえます。

対して、共和党は、無原則・ビジネスライクですので”敵の敵は味方”的な発想をするため、民主党より反共でありながら、共和党のニクソン政権時に共産主義大国の中国を電撃訪問し、国交回復に道を開きました。

このときは同じ共産主義陣営の中国とソ連が厳しく対立しており、まさに”敵の敵は味方”的な発想で行動したのです。

共和党は普段は、好戦的なスタンスであるものの実際には戦争はせずに取引をして丸くおさめるというような政治スタイルが特長です。

史上空前の軍拡をしながら戦争をせずに、当時のソ連と冷戦終結に導いたレーガン大統領も共和党的な政治行動といえます。

2018年6月に実現したトランプ大統領の北朝鮮の金正恩氏との電撃会談も共和党的な行動です。

”怒りぽく、武器を沢山購入してちらつかせ、相手を威嚇して交渉に持ち込む”のが共和党ともいえます。


■民主党と共和党の違いについて理解を深める本

★民主党のアメリカ 共和党のアメリカ [ 冷泉 彰彦 ]

民主党と共和党の違いについて、好むドラマ・映画の違いといった日常生活レベルから、解説していますので、政治は苦手という人にもすんなり読めることができることが本書の特長です。

著者はアメリカ在住ということで、実際に見聞きした体験にもとづいて、著述されていますので、内容に説得力が感じられます。

また、共和党・民主党どちらか一方の立場ではなく中立的なスタンスで論じていることにも好感がもてます。

本書を読めば、民主党と共和党が関わるニュースがよく理解できるようになります。

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■まとめ

アメリカ民主党と共和党の共通項は、どちらも政権担当能力を持つ責任政党であることです。
アメリカには、日本でいうところの政府のいうことに何でも反対するような抵抗政党は存在しません。

万年野党ではなく、どちらの党もいつでも政権を担えるという点で、2大政党制という器だけマネした感のある日本とは大違いです。

また、過去の歴史をみてみると民主党・共和党とも連続で4期政権を担ったことはありません。3期連続も稀です。

2016年の大統領選挙は、泡沫候補と揶揄されていた共和党のトランプ氏が当選しましたが、オバマ民主党政権が2期8年続いたことで、国民の間に”次は共和党に”という意識が働きやすい状況だったことは否めないと思います。

もし、トランプ政権が国民の期待に応えられないのなら、次は民主党へとなることは必至です。

こうしてみるとアメリカの政治体制は、共和党と民主党という2つの振り子が交互に政権を担うことでバランスをとっているように感じます。
共和党政治にも民主党政治にもその政治信条の違いにより、それぞれ、長所・短所があります。

4年に1度の大統領選を通じて、適度な間隔で政権交代が実現し、民主党政権の短所を共和党政権が修正、逆に共和党政権の短所を民主党政権が修正することが繰り返されることで、アメリカの政治がなりたっているといえます。

↓民主党の支持者層についての詳細はコチラから↓
https://wp.me/pasJi3-2v


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