ソビエト連邦とロシア連邦の違いとは?その構成国と現在の国名一覧

政治用語の違い

ソビエト連邦とロシア連邦の違いを知るためには、まず1991年まで存続したソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)の構成国を把握すると理解しやすくなります。

ソビエト連邦の正式名称はソビエト社会主義共和国連邦で文字通り、複数の共和国から構成されていました。

アメリカが主権国家並みの自治権を持つ50の州からなる合衆国というより合州国というべき連邦国家ですが、ソビエト連邦も州と共和国の違いはありますが似たような国家形態でした。




ソビエト連邦は、15の共和国から構成されていました。
共和国の国名にはすべて、ソビエト、社会主義がついていました。

もともとソビエトとはロシア語で”軍人と農民の評議会”を意味していますので国名ではなく、政治用語です。

国の名前にソビエトがついていることで15共和国すべてがソビエト共産党の指導による社会主義体制の国であることを意味していました。

ソ連の独裁者として悪名高いスターリンは、グルジア・ソビエト社会主義共和国の出身でした。

15の共和国のうち、面積・人口規模も経済規模も圧倒的に大きかったのはロシア・ソビエト連邦社会主義共和国でした。

しかし、ソ連時代は建前上はどの共和国も同等に扱われていたとされていました。

国名にウズベキスタン等、”スタン”とつく共和国が多いですが、この”スタン”は英語の”stat(国・州)と同じ意味です。

■ソビエト連邦の構成国一覧

・ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国 (現ロシア)

・エストニア・ソビエト社会主義共和国 (現エストニア)

・ラトビア・ソビエト社会主義共和国 (現ラトビア)

・リトアニア・ソビエト社会主義共和国 (現リトアニア)

・白ロシア・ソビエト社会主義共和国(現ベラルーシ)

・ウクライナ・ソビエト社会主義共和国(現ウクライナ)

・モルダビア・ソビエト社会主義共和国 (現モルドバ)

・グルジア・ソビエト社会主義共和国   現ジョージア(旧グルジア)

・アルメニア・ソビエト社会主義共和国  (現アルメニア)

・アゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国 (現アゼルバイジャン)

・カザフ・ソビエト社会主義共和国 (現カザフスタン)

・ウズベク・ソビエト社会主義共和国 (現ウズベキスタン)

・トルクメン・ソビエト社会主義共和国 (現トルクメニスタン)

・タジク・ソビエト社会主義共和国 (現タジキスタン)

・キルギス・ソビエト社会主義共和国 (現キルギスタン)

現在のロシア連邦は、ソビエト連邦の構成国だったロシア・ソビエト連邦社会主義共和国がソ連から独立する形で誕生しました。

ソ連時代は、ほぼソ連=ロシアのような実態でしたのでわかりにくいのですが、形式上はロシア連邦も他の共和国と同じようにソ連から独立したことで誕生、現在にいたっています。
ただ、ロシアの正式名称がロシア連邦共和国とあるように現在のロシア連邦下には、85にも及ぶ自治共和国・自治州が存在しています。




以上から、ソビエト連邦とロシア連邦の違いは下記のようになります。

■ソビエト連邦とロシア連邦の違い

旧ソビエト連邦=ロシア、ウクライナ等15共和国からなる連邦国家

現ロシア連邦=チェチェン、クリミア共和国や州等83の構成主体からなる連邦国家

要するに算数用語でいえば、ソビエト連邦が全体集合、ロシア連邦が部分集合ということになります。

※旧ソビエト連邦内の共和国はすべて独立しましたが、ロシア連邦内の共和国は独立を果たせないでいます。 

中でもチェチェン共和国は非ロシア人のチェチェン人の割合が高く、しばしば独立運動が激化して、ロシア政府と衝突するチェチェン問題を起こしています。

ソビエト連邦とロシア連邦の最大の違いは、その政治体制です。

ソビエト連邦はソビエト共産党による一党独裁体制でしたが、ロシア連邦では複数政党制・自由選挙による議会政治を権力の基盤とした政府・国家が運営されています。



■権力者にみるソビエト連邦とロシア連邦の違い

★ロシア連邦の権力者

現在のロシア連邦は、大統領制による国家体制で、最高権力者はプーチン大統領です。
ロシア連邦は、国民の自由選挙によって大統領を選出しており、任期は5年となっています。

★ソビエト連邦時代の権力者

ソビエト連邦時代は、共産党が国家を指導する共産主義体制でしたので、最高権力者は国家のトップではなく、ソビエト共産党のトップでした。

ソビエト共産党のトップは書記長という役職で、かの有名なスターリンもソビエト共産党書記長として権力をふるいました。

ソビエト連邦最後の書記長は、ペレストロイカ(ロシア語で改革の意)を開始して、ソビエトの改革運動を推し進めたゴルバチョフ書記長でした。

結局、ゴルバチョフ書記長は自らが始めた改革によって権力基盤であったソビエト共産党ならびにソビエト連邦を消滅させ、現在のロシア連邦の誕生を導きました。

■まとめ

①ソビエト連邦は、1991年12月まで存続したソビエト共産党の指導下の共産主義国家で、ロシア、ウクライナ等、15共和国から構成されていました。

②ロシア連邦は、1991年12月のソビエト連邦崩壊によって誕生したチェチェン、クリミア共和国や州等83の構成主体からなる共産主義ではなく民主主義体制による連邦国家です。
③ソビエト連邦は共産党以外の政党の存在を認めないソビエト共産党による一党独裁体制でしたが、ロシア連邦では複数政党制・自由選挙による議会政治を権力の基盤とした政府・国家が運営されています。



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