囲碁が不人気の理由・背景・その挽回策を将棋との比較で考察

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高校生天才棋士藤井聡太2冠の登場で将棋フィーバーに沸く将棋界に比べ、人気が低迷しているとされる囲碁が不人気の理由・背景を囲碁万年中級・将棋三段の筆者が経験に基づいて考察してみました。

囲碁界の総本山である日本棋院は、2020年10月20日、低迷する囲碁人気の回復策として定款第3条の「我が国の伝統文化である棋道」を「我が国の国技であり伝統文化である棋道」に改めました。

囲碁を国技としたところで、囲碁ファンが急増するとは思えませんが、おそらく、来年に延期になった東京オリンピック向けのプロモーションの一環という狙いもあるようです。

とにかく日本棋院が囲碁人気の低迷を挽回したいと危機感を抱いているのは間違いないようです。

筆者は囲碁も将棋も嗜みますが、両者にはルール、盤の大きさ、道場とサロン等大きな違いがあります。



囲碁のルールがわかりやすい?という思い込みが普及の妨げの理由?

囲碁を愛好する人が良く言われるのは、”囲碁のルールはわかりやすい”ということです。確かに、石は黒と白の2種類しかありませんし、盤上のどこに打っても良いですし、将棋の駒のように一つ一つ動きが異なる、という複雑さはありません。

そういう意味では、”囲碁のルールがわかりやすい”というのはその通りだと思います。

ただ、将棋が”自分か相手の王将の行き場を無くせば勝ち”という視覚的にわかりやすいのに対し、囲碁は陣取り合戦であるために、特に初心者レベルだと、対局中そもそも自分が優勢なのか劣勢なのかもわかりにくいというのが実情ではないかと思います。

現在、将棋界では自分では対局しないけど、贔屓のプロ棋士の対局だけを観戦する”観る将”がabema TV等を通じて、初心者・女性を中心に急速に増えています。

”観る将”の人に話を聞くと、細かい駒の動きはわからないけど、終わり方はわかるという人が少なくありません。

ですので、囲碁のルールは簡単だけど、”勝ち負けがわかりにくい”ということで、”観ていてもよくわからない”となりがちで、囲碁に興味を持つ人が広がりにくいのではないかと思います。

盤の大きさの違いがネック?

囲碁は初心者時代は、九路盤等で学習します。
対して、将棋は初心者であっても有段者であっても同じ盤で対局していきます。

囲碁も将棋もする筆者からするとこの差は大きいと感じます。

もちろん、囲碁の初心者がいきなり、19路盤で打つのは無理だとは思いますが、九路盤を卒業すると次は13路盤、そしてようやく19路盤というステップは、将棋にはないハードルです。

将棋は、将棋盤で将棋をする前に特に小さな子供さんを対象に”どうぶつ将棋”のようなもので、まず、駒に親しんでもらうような取り組みもしています。

囲碁も既存にはない、学習用の教材・遊具のようなものを開発することが必要ではないかと思います。



囲碁サロンと将棋道場の違い

囲碁の愛好家が訪れるのが囲碁サロンですが、同じ対局する場所として将棋道場とは雰囲気が大きく異なります。

囲碁サロンは、将棋道場に比べ高齢者層が多く、小学生の姿をほとんどみかけません。
一方、囲碁サロンは、将棋道場では少ない中高年の女性が多いという特長があると思います。

ただ、どちらにも通った経験からすると囲碁サロンのほうが初心者が入りにくい雰囲気があると思います。

そもそもサロンという言葉からして、愛好者のための場所という受け取れ方をされやすいことは否めません。

一方の将棋道場は、ほとんどの道場で初心者のケアが行き届いています。

以前、囲碁をテーマにした”ヒカルの碁”で年少者にも囲碁に対する興味が広がりましたが、結局定着しませんでした。

ですので、今後、囲碁の不人気を挽回するためには、初心者に対するケアを充実する必要があるのではないかと思います。

ネット囲碁棋戦で観る囲碁ファンの増加を

筆者は将棋のほうがメインですが、最近驚かされているのが、自分は対局はしないけど将棋を観るのが好きな”観る将”ファンの増加です。

野球で例えれば、自分は野球はしないけど観るのは好きというような嗜好に近いです。
”観る将”が急速に増えたのは、藤井2冠の将棋がAbema TVでネットを通じてリアルタイムで観戦できるようになったからです。

今や”観る将”という言葉は、将棋ファンの間では日常用語として定着しています。

それまで、棋士が昼ごはんに何を食べているのか興味はありませんでしたが、観る将の人たちは、食べ物やおやつにも関心を示します。

こうした傾向をうけ、将棋のJT杯トーナメントのネット中継のあいまに、女流棋士がランチに相応しいJTの製品を紹介していました。

将棋界からすれば、対局をしなくても将棋に興味を持ってくれる人が増えることは好ましいと考えています。

囲碁界もネットでリアルタイムで囲碁の対局を見られる機会を増やし、観る囲碁ファンのような人を増やしていくことが有効ではないかと思います。

囲碁の強みは国際性

囲碁と将棋を比べての強みとなると囲碁の国際性ということになると思います。

囲碁は、世界という舞台があるのに対し、将棋の藤井聡太2冠がいくら天才的に強くても、日本国内でしか対局する場はありません。

ただ、現状ではその強みを生かし切れていないように思えます。

例えば、2019年に開催されたラグビーワールドカップは、自国開催の国別対抗ということで、それまでラグビーに全く興味のなかった層まで関心を呼び起こしました。

ですので、囲碁の国際性という強みを生かせる大規模なイベントを開催することで、囲碁に対する関心を高めることができるのではないかと思います。



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