辻井伸行の実力・ショパンコンクール受賞を逃した背景をピアノ教師がわかりやすく

音楽情報

盲目のピアニストとして有名な辻井伸行さん。
ファンも多い辻井伸行さんの実力や評価をまとめています。
また、受賞歴、共演歴やおすすめの音源を紹介しています。



辻井伸行の世界的な評価について

日本での評価

辻井伸行さんは日本でコンサートを行うとなかなかチケットが取れないという話をTwitterなどでもよく目にします。
コンサートホールを満員にできるクラシックの奏者はあまりいないので、すごい人気ですね。
辻井伸行さんの優しい人柄も相まってファンになる人が多いようです。

海外での評価

辻井伸行さんが優勝したコンクールであるヴァン・クライバーン財団の会長、リチャード・ロジンスキー氏は、
「今までに見たことない光景を目にしました。全ての審査員が立ち上がり、拍手をしていました。」
と辻井伸行さんの演奏について話しています。
https://youtu.be/38-3zkynl4o

通常、コンクールでは公平を期すため、審査員が演奏後に拍手などのアクションを起こすことはありません。
コンクールに関係なく、審査員の心までも動かしたのですね。
海外でも辻井伸行さんの演奏は受け入れられ、人々に届いているようです。

世界ランキングでの順位

クラシック音楽の世界において世界ランキングというものは存在していません。
コンクールごとに発表される順位が1つの指標となります。
辻井伸行さんは後述のようにヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールでの優勝経験もあり、世界的なピアニストの1人ですね。



ショパンコンクールでの成績

辻井伸行さんは、2005年にワルシャワで行われた「第15回ショパン国際ピアノコンクール」に最年少の17歳で参加しました。
2次予選の演奏後は、演奏会ではない、コンクールという場にも関わらずカーテンコールが4回も起こったそうです。

誰もが2次予選通過を確信していましたが、ファイナルに進むことはできませんでした。

しかし、インターネットで中継されていた辻井伸行さんの演奏は世界中の観客を熱狂させ、「批評家賞」を受賞することとなりました。

音楽にはスポーツのように絶対的な点数をつけることができないこともあり、コンクールでは観客の予想と結果が異なる場合が度々あります。

世界中から実力者が集まるショパンコンクールという場において、年齢的に早すぎるとも思える当時17歳の辻井伸行さんが、注目されるような演奏をしたということが驚異的です。

人の心を動かす力は辻井伸行さんの唯一無二の魅力で、その実力と努力が今日の活躍につながっていますね。

受賞歴

1995年、7歳の時に「全日本盲学校音楽コンクール」器楽部門ピアノの部(現在のヘレン・ケラー記念音楽コンクール)で第1位を受賞しました。

また1999年、11歳の時には、「PTNAピアノコンペティション」D級で金賞、審査員特別賞を受賞しています。

日本最大級の規模と言われるこのコンクールで、D級(中学2年生までの部門)を11歳で制したということで、小さい頃から実力がいかに飛び抜けていたかが分かりますね。

2005年には「第15回ショパン国際ピアノコンクール」で批評家賞を受賞し、海外へ広く名前が知れ渡ることとなりました。

2009年、20歳の時に「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」で中国人ピアニスト張昊辰(チャン・ハオチェン)氏と同時優勝を果たします。
その際、ビヴァリー・テイラー・スミス賞も受賞しました。

これはコンクールのために書かれた新曲を最も素晴らしく演奏した人に贈られる賞です。

辻井伸行さんは楽譜を読まないので、このコンクールのために新しく書かれた曲を耳コピして覚え、1番素晴らしく演奏したということになります。ものすごい才能ですね。



協演歴(オーケストラ等)

辻井伸行さんは子供の頃からオーケストラと共演しています。

1998年、10歳で本名徹次氏指揮、大阪センチュリー交響楽団と共演し、デビューを飾りました。
また2002年には金聖響氏指揮、東京交響楽団と共演しています。

オーケストラと共演するのは、技術的にも体力的にも大変ですが10代前半ですでに弾きこなしていたようです。
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝後は海外の名指揮者や有名オーケストラとの共演が相次ぎました。

世界的ピアニストで指揮者のヴラディーミル・アシュケナージ氏とは、2012年ロンドン、2016年シドニー、2017年ベルリンなどで共演しています。

その後アシュケナージ氏は2019年、演奏活動からの引退を発表しました。

また、指揮者ヴァレリー・ゲルギエフ氏との共演も多く、2012年サンクトペテルブルク、2014年ミラノ、2015年にはミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団と共にドイツおよび日本などで演奏しました。

一気に世界的ピアニストへの道を駆け上がりましたね。

そして、辻井伸行さんの子供の頃を知る指揮者、佐渡裕氏との共演も重ねています。
2008年5月18日放送のテレビ朝日「題名のない音楽会」や2015年のウィーンでの演奏は話題となりました。

辻井伸行さんの演奏が鑑賞できるおすすめの動画

辻井伸行さんは2020年5月、公式YouTubeを始めました。
コロナ禍で大変な人々に音楽を届けたいと、クラシック、自作の即興演奏や松任谷由実さんの名曲「春よ、来い」などの動画をアップしています。

2021年1月31日にアップされたベートーヴェンのピアノソナタ第14番Op.27-2「月光」第3楽章は特におすすめしたい1曲です。
https://youtu.be/GUXAYmmrb9k

情熱的かつ美しさも合わせ持った鮮やかな演奏で、辻井伸行さんの魅力が詰まっています。
再生回数50万回を超える人気動画です。

また、同日にアップされたショパンのバラード第1番ト短調Op.23はフィギュアスケートの羽生結弦選手が使用した楽曲としても有名です。
https://youtu.be/ImzDsXHYIuM
優しい音が心に染みる素晴らしい演奏です。



辻井伸行さんの演奏が鑑賞できるおすすめのCD・DVD等

辻井伸行さんのCDは、クラシックはもちろん、NHK大河ドラマ真田丸や映画「マエストロ!」のオリジナルトラックなど多岐にわたります。

2020年9月30日にリリースされた「笑顔で会える日のために〜あなたに寄り添うピアノ作品集」は、自作曲「笑顔で会える日のために」を含む、ドビュッシー、ショパン、ベートーヴェン、リスト、ラフマニノフといった名曲が収録されています。

2020年5月27日にリリースされた「佐渡裕×辻井伸行 ラヴェル作品集」では、辻井伸行さんと強い信頼関係がある佐渡裕さんとの共演をライブ収録しています。
1枚のCDで協奏曲、管弦楽曲、合唱曲、ピアノソロが楽しめる、盛りだくさんな内容になっています。

また、2009年12月30日リリースの「辻井伸行 世界が感動した奇跡のコンクール・ドキュメント」はCDとDVDの2枚組で、優勝したヴァン・クライバーンコンクールのドキュメント映像を見ることができます。

まとめ

①辻井伸行さんは日本だけでなく海外でもその実力を認められ、観客の心を動かしてきました。
②辻井伸行さんは第15回ショパン国際ピアノコンクールでの批評家賞や、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールでの優勝を経て、世界の名指揮者やオーケストラとの演奏活動を積極的に行っています。
③辻井伸行さんの演奏は公式YouTubeや各種のCDで聴くことができます。

これからも辻井伸行さんの活躍を期待したいですね。





※参考
辻井伸行オフィシャルサイト
https://avex.jp/tsujii/

辻井伸行公式YouTube
https://youtube.com/channel/UCGDdU23g7xjolfoq486JOyQ

avex ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝記事
https://avex.jp/classics/news/detail.php?cd=TUJII&id=1074747

ピティナピアノコンペティション過去の記録
https://web.archive.org/web/20170826114021/http://www.piano.or.jp/compe/result/archive/1999.html

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