ウクライナ問題とは?ロシアが強硬な理由・背景を含めて簡単にわかりやすく説明

ウクライナ問題について、そもそも現在何が原因・背景で緊張状態となっているのかについて、さらに現在の状況を生み出した過去の経緯について、ロシア側・欧米側の視点から簡単にわかりやすく説明します。



ウクライナ問題の最大の問題は何か?ロシアが強硬な理由とは?

ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟にロシアが強硬に反対

ウクライナ問題の最大の問題は、ウクライナが事実上ロシアを仮想敵国としたイギリス、ドイツ、フランス等の欧州諸国の軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)加盟しようとしていることに対して、ロシアが安保上、死活問題だとして強硬に反対していることにあります。

ロシアは、ウクライナは元々同じ国だったという意識が背景に

ロシアは、なぜ他国であるウクライナの国内問題であるNATO(北大西洋条約機構)加盟に反対するのかと思う人も少なくないと思います。

ウクライナは、1991年のソビエト連邦崩壊までソビエト連邦内の一共和国でした。

また、民族的にもロシア人と近い存在のうえ、過去をさかのぼると現在のロシアの元祖ともいえるルーシという国が現在のウクライナとロシアの領土にまたがるように存在していました。

ウクライナの主な歴史

9世紀ごろ キエフ・ルーシが成立 
14世紀ごろ リトアニアやポーランドの支配下に置かれる
1667年   ウクライナがロシアとポーランドに分割される
1917年   ウクライナがロシア革命で一時的に独立するも、その後ソビエト連邦の共和国に編入
1954年   ソ連邦内でクリミア半島がウクライナ共和国の領土に
1991年   ソ連崩壊により、ウクライナが独立
2004年   オレンジ革命でウクライナに親欧米政権が発足
2014年   
2月 親ロシア政権が親欧米派により、転覆
3月 ロシアがクリミア半島併合
4月 ウクライナ東部で親ロシア派と政府軍との間で紛争

上記のようなことから、ウクライナはロシアにとって家族でいえば、兄弟・姉妹のような存在でよその国という意識が希薄なのです。

ロシアからみると隣国は敵国だらけに

1991年のソビエト連邦崩壊後、それまでソ連の忠実な衛星国であったポーランド、東ドイツ、ルーマニア、チェコスロバキア等の共産主義国家も崩壊、その後、現在のロシアに対抗する軍事同盟のNATO(北大西洋条約機構)加盟していきました。

また、ソ連の一共和国だったリトアニアもNATOに参加する等、ロシアからするとソ連崩壊後、周囲は敵国に囲まれるような状況になっています。

そこにさらに人口4000万で国土も広い規模の大きなウクライナまでNATOに加盟するとロシアにとって危機的な問題となると考えているからこそ、プーチン大統領が強硬な態度を示しているのです。

欧米がウクライナのNATO加盟を推進しているのはなぜ?

欧米は、ウクライナのNATO加盟を推進することでロシアがまるで自国のようにウクライナの国内政治に干渉したり、軍事的な介入を防ぐことができるという思惑があるものと思われます。

また、ベルラーシのようにロシアの影響力の強い欧州の国は、独裁的な政権による強権国家が多く、こうした国に欧米流の民主主義を根付かせることを目的としています。

ウクライナがこれまでなぜNATOに加盟できていないのはなぜできていないのはなぜ?

1991年のソ連崩壊後、それまでウクライナと同じソ連邦内の共和国だったエストニア、リトアニア、ラトビアのバルト3国はNATOにもEUにも加盟しています。

ウクライナは、いまだにNATOだけでなくEUにも加盟していません。

この差は、ウクライナの政権が親ロシア派になったり、親欧米派になったり不安定なことと政治腐敗がひどく、政権が機能不全に陥ることが多いのが大きな原因とされています。

そのため、政治腐敗に嫌気がさしたウクライナ国民は、政治経験ゼロのコメディアンだったゼレンスキー氏を2019年に大統領に選びましたが、今のところ、国民をまとめる力量も、危機対応能力も十分とは言い難い状況です。

また、ロシアからの情報操作で国内が混乱させられたという背景もあります。
ロシアとすれば、ウクライナがNATOに加盟してしまうと軍事的に手出しができなくなるので、プーチン大統領が軍事侵攻を強行したものとみられています。

ウクライナがNATOに加盟したらどうなる?ロシア側がウクライナ問題に強硬な背景

ロシアにとって至近距離にミサイルが配備?

ウクライナの首都のキエフとロシアの首都モスクワは、日本国内でいえば東京と山口県くらいの距離しか離れていません。

もし、ウクライナがNATOに加盟するとロシアからすると至近距離に自国に向けられたミサイルが配備される可能性が大きくなります。

山口県にある岩国基地に東京に向けて攻撃する目的のミサイルが配備されるということを想像すれば、ロシアの危機感がどれほどか理解できるのではないかと思います。

ロシアは、過去モンゴル帝国に200年にわたり占領されり、フランスのナポレオンに侵攻されたり、ヒトラー率いるナチスドイツに攻め込まれ、約2000万の犠牲者を出した歴史から、自国の安全に異常なまでに敏感です。

ロシアからすれば、安全保障上、ウクライナがNATOに加盟することは絶対に阻止したいと考えているからこそ、軍事的な圧力を加えて、欧米側に譲歩させようとしているのです。

そもそもウクライナに関しては、多国間でこれまで、ミンスク合意とブタペスト覚書がまとめられていますが、現在の状況は、これらに反する状況となっています。

ウクライナ問題に関連する合意・覚書とは?

ウクライナ問題に関連する合意・覚書としては、ミンスク合意とブタペスト覚書があります。

ミンスク合意

2015年2月にロシア、ウクライナ、フランス、ドイツによってまとめられたものでその内容は
①親ロシア派が支配するウクライナ東部での包括的な停戦
②ウクライナが地方分権を規定する憲法改革を実施したうえで、ウクライナ東部を特別な地位とする

ブタペスト覚書

1994年にロシア、ウクライナ、アメリカ、イギリスによってまとめられたものでその内容は
①ウクライナが核兵器不拡散条約に加盟することに関連し、同国の安全を保障
②ウクライナの独立、主権、国境を尊重し、領土や政治的独立に対して軍事的な圧力を控える

このブタペスト覚書によって、それまで世界有数の核保有国であったウクライナが核兵器を放棄。
放棄の代償としてウクライナはロシアから安全を保障されるという内容でしたが、2022年2月のロシア侵攻によってこの覚書は紙切れとなりました。

上記のうち、ミンスク合意についてはウクライナ側はロシアに有利すぎる内容であるとして反発しています。

一方のプーチン大統領は、ミンスク合意を前面に打ち出して欧米と駆け引きしていますが、ブタペスト覚書については、言及していません。

上記のような覚書や合意は、本来、当事者であるウクライナとロシアでまとめるべき内容にもかかわらず、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツが深く関わっていることで根底にウクライナを巡る欧米とロシアの間で利害対立があることが窺えます。

ロシアがなぜこの時期に動いたのか?

ロシアのプーチン大統領は、悪名高い旧ソ連のスパイ組織KGBの出身ということで、とても戦略的な動きをします。

欧州では、主要国のドイツで政権交代がされたばかり、またフランスは5月に大統領選挙を控えています。
イギリスではジョンソン首相がコロナ対応や自身のコロナ自粛下におけるパーティー疑惑を巡り、弱体化しつつあります。

アメリカのバイデン大統領も国内では共和党支持派と民主党支持派で分断化、国外では中国・台湾問題というようにロシアと対立する欧米の首脳の状況がおしなべてよくない時期を見計らったうえで、好機と判断、2022年に入り、ウクライナへの圧迫を強めたものという見方が有力です。

さらに、2014年のロシアによるクリミア併合の際、当時のオバマ大統領がウクライナに武器を配備することに反対したことを記憶しているプーチン大統領がその時の副大統領だったバイデン氏が政権に就いたことで、”今回も口先だけ非難して何も出来ないだろう”と高を括っていたということも今回のウクライナ危機に大きな影響を与えています。

2014年にロシアがクリミア半島を併合したのは、自国で開催されたソチオリンピック終了後でしたので、北京オリンピック開催期間で世界の目がオリンピックに向いているこの時期を狙って動いたという可能性も高いです。

ロシアやプーチン大統領の真意や行動は予測しにくいですが、戦争となれば相当の犠牲を被るには必至ですので、落としどころを見計らうと同時に国民に対して納得させられるような譲歩が得られた段階で手打ちとなるのではないかと期待感を込めて予想します。




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