ギグワーカーとは?フリーランスとどう違う・そのメリットやデメリットとは?

ギグワーカーという言葉は、2016年に日本政府が「働き方改革」を唱えたのを機に、広まってきた労働に関する用語です。

そもそもギグワーカーとは、簡単にいうと以下のようなことを意味します。



ギグワーカーとは?

ギグワーカーとは、インターネット上のプラットフォームサービス、具体的には、ランサーズ、クラウドワークス、ウーバーイーツ等を通じて、単発の仕事(ギグワーク)を請け負う労働者のことを意味します。

労働者といっても、依頼主との間に雇用契約を結ぶことはありません。

これまで、ギグワーカーの多くは企業に属さないフリーランスや個人事業主でしたが、この1,2年は、副業を容認する企業も出始めたことで、企業に正社員として雇用されたまま、副業としてギグワーカーとしても働く人も増えています。

ちなみに、ギグワーカーのギグとは、ミュージシャン等のパフォーマンスを生業とする人たちが各地を巡業しながら仕事から仕事へ渡り歩くというライフスタイルを意味します。

独立行政法人労働政策研究・研修機構によれば、「ギグワーカー」を含むフリーランスの労働者は、全国でおよそ170万人いると推定されています。

ギグワーカーは、あくまでも自分の裁量で仕事の量を調整可能なことや、スマホを通じて、簡単にスグに始めることが出来るということもあり、若い世代を中心に急速に浸透しています。



ギグワーカーとフリーランスの違いとは?

フリーランスは、専門スキルを持つ個人事業主として、企業と雇用契約を結ばずに仕事を請け負うワークスタイル。

具体的には、「ECサイトの立ち上げ」や「企業のロゴのデザイン」というようなプロジェクト単位で仕事を請け負ったり、あるいは、ソフト開発プロジェクトで「プログラミングだけを担当」というように専門性が高い業務を担当することが多いのが特長です。

仕事の内容は、単発のプロジェクトをまるごと請け負う人もいれば、部分作業だけを請ける人もいます。

対して、ギグワーカーは、”自分の空き時間に仕事をする”というスタイルの人が多く、”空き時間にウーバーイーツで渋谷で配達”、”土日はランサーズ経由のブログ記事のライティング”というようにフリーランスほど専門性が問われないことが特長です。

もちろん、フリーランスの中にもギグワーカーのような働き方の人もいらっしゃいますし、ギグワーカーの中に専門性をだして働く方もいます。

最近では、仕事を仲介するプラットフォームサービスの中にビザスクのように短時間コンサルを提供するようにこれまでにないスタイルの働き方を提示する動きも出てきていますので、これから先、ギグワーカーとフリーランスの垣根は低くなっていくのではないかと思います。

ギグワーカーと派遣社員の違いとは?

ギグワーカーと派遣社員の違いは、その雇用契約にあります。

空き時間に働くということでは、ギグワーカーと派遣社員は似たワークスタイルともいえますが、派遣社員が派遣元の派遣会社と雇用契約を結んでいるのに対し、ギグワーカーは、ランサーズ、クラウドワークス、ウーバーイーツ等のプラットフォームサービスを提供する会社と雇用契約を結んでいるわけではありません。

ギグワークを提供している主なプラットフォームサービス

・ランサーズ
ネットで最短即日発注ができるフリーランスプラットフォーム。 ホームページ制作、アプリ開発、ロゴなどのデザイン、ライティングまで様々な業務に対応可能


・クラウドワークス
日本最大級のクラウドソーシング。ホームページ作成、アプリ・ウェブ開発やロゴ・チラシ作成、ライティング、データ入力まで様々な業務に対応可能

・シュフティ
主婦のための仕事マッチングサイト

・ウーバーイーツ
アメリカ・ウーバー・テクノロジー社が運営するスマホ(アプリ)で注文した食事や商品を、すぐにデリバリーしてくれるサービス

・ココナラ
「知識・スキル・経験」など、みんなの得意を気軽に売り買いできるスキルマーケット

・ビザスク
業界業務の経験豊富な「その道のプロ」に、1時間からピンポイントに相談できる日本最大級のスポットコンサル

・ギグワークス
日本一のGig Economyのプラットフォーマー

上記のうち、ビザスクは、2020年に上場したばかりの企業で”企業が求める知見を持つアドバイザーから直接話が聞ける1時間からのスポットコンサルサービス”を提供しています。
このサービスを利用すれば、例えば、半導体メーカーに正社員として勤務しつつ、自分の知見を企業にスポットコンサルサービスとして提供、対価を受け取ることが可能です。

ギグワークのなかで、これまで、ありそうでなかった短時間コンサルというビジネスで注目を集めています。



ギグワーカーの働く側のメリットとは?

ギグワーカーのメリットは、自身の都合の良い時間や、スキマ時間に働くことが可能なことです。
また、特に特殊なスキルがなくてもスマホで登録して、誰にでも簡単に始められることがメリットです。

これまで、自身の都合の良い時間に働く方法としては、派遣、アルバイト、パートタイマー等がありますが、それでも急にあいた2時間、今日の夜の2時間といった時間だけに
働くことは困難でした。

ギグワーカーは、勤務時間も勤務日数も自分の裁量で働くことが可能ですので他の仕事あるいは、育児、介護、資格試験の勉強や演劇の稽古との両立も可能になることで、働き方を含めたライフスタイルの選択肢が広がることもメリットです。

また、最近の働き方改革で残業時間が減少していることで、空いた時間でギクワークで
本業以外に収入を得られることもメリットと考えられています。

ギグワーカーの依頼する側のメリットとは?

・依頼する側は、特に飲食店の配達等は、配達が発生した時にだけ、対価を支払えば済みますので、人件費の削減につなげられます。

・また、アルバイトよりも人手の確保が簡単に出来ることがメリットです。



ギグワーカーのデメリットとは?

・ギグワーカーの種類にもよりますが、一般に賃金水準が低く、依頼主と雇用契約を結んでいるわではありませんので待遇の改善を求めにくいことがデメリットです。

ギグワーカーは、企業に雇用されている正社員とは異なり、社会保険や労働法令は適用されませんので、現状では仕事中に怪我や病気をしても何の保障もありませんし、有給休暇もないことがデメリットとされています。

また、仕事が急になくなったり、打ち切りになることであてにしていた収入が突然、断たれてしまうリスクがあることもデメリットです。

ギグワーカーの待遇に関わる問題としては、2019年にウーバーイーツで働くギグワーカーが労働組合ウーバーイーツユニオンを結成し、待遇改善等をめぐり、ウーバー・ジャパン(東京・渋谷)との団体交渉を求めていますが、会社側は、「労働組合法の上では『雇用する労働者』に該当しない」として、応じていません。

ウーバー側が団交を拒否するのは、配達員を個人事業主と見なしているためで、ウーバーイーツの利用規約によれば、配達員が「Uberまたはその関連会社により雇用されていない独立した第三者」としてサービスを提供すると規定しています。

ギグワーカーの依頼する側のデメリットとは?

・サービスの質が一定していないこと。

・企業により業務の管理体制に差があること

ギグワーカーに関する注目すべき裁判の判決

ギグワーカーについて、事業主なのか労働者なのかについて、世界各国で議論となっていますが、2020年3月、フランスの最高裁が、配車アプリ「ウーバー」の運転手は独立した事業主ではなく「労働者」であるとの判決を出しました。

フランス最高裁は、労働者かどうかを判断するにあたり
①命令を受けているか②コントロールされているか③制裁があるかという三つの要素を重視したとされています。

また、米カリフォルニア州では、ギグワーカーに従業員としての権利を保護する州法「AB5」が2020年1月から施行されています。

これらの判断は、今後、日本国内での論議に大きな影響を与えるものと思います。



まとめ

①ギグワーカーとは、インターネット上のプラットフォームサービス、具体的には、ランサーズ、クラウドワークス、ウーバーイーツ等を通じて、単発の仕事(ギグワーク)を請け負う労働者のことを意味します。

②ギグワーカーとフリーランスの違いは、フリーランスが特定のスキルにより専門性が高く、一定の仕事量のある業務を行うことが多いのに対し、ギグワーカーは、1,2時間といった短時間や1日だけといった単発でもできる業務を行うことが多いという違いがあります。

③ギグワーカーのメリットは、自身の都合の良い時間や、スキマ時間に働くことが可能なことです。
また、特に特殊なスキルがなくてもスマホで登録して、誰にでも簡単に始められることがメリットです。

④ギグワーカーは社会保険や労働法令は適用されませんので、現状では仕事中に怪我や病気をしても怪我や病気等に対して、何の保障もありませんし、有給休暇もないことがデメリットとされています。

また、仕事が急になくなったり、打ち切りになることであてにしていた収入が突然、断たれてしまうリスクがあることもデメリットです。

⑤ギグワーカーが個人事業主なのか労働者なのかについて、国内では判断が分かれていますが、海外では、アメリカやフランスで労働者と認める動きが出ています。



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