ロシア正教とは？
・ロシア正教トップは誰？
現在のロシア正教会のトップは、キリル総主教と呼ばれる人物です。
2009年に着座しています。
・教義
まず、ロシア正教とは、キリスト教の一派のことであり、カトリック、プロテスタントと並び、三大キリスト教の一つとして、位置づけられています。
ロシア正教では、その他の宗派と同じく、「父なる神」、「その子キリスト」、「聖霊」を唯一の神（三位一体）として信仰しています。
・ロシア正教とプーチン大統領との関係
かつてのソ連時代では、宗教は禁止されていました。
しかし、ゴルバチョフ大統領就任後は、そのような制約は解かれ、その後は国と宗教とがお互いを利用し合うという関係が続いてきました。
そして、現在のキリル主教とプーチン大統領は盟友関係にあり、長きにわたり支え合ってきた仲だと言われています。
現在のロシアでは、宗教と政治そして、軍が密接に関わり合っている状態となっています。
・ロシア正教のウクライナ侵攻に対する姿勢
ロシア正教のキリル総主教は、この度のロシアによるウクライナ侵攻に関して、全面的に支持をする旨を表明しています。
この点、ウクライナ侵攻の背景には、カトリックを中心とした西洋社会とロシア正教を中心としたロシアとの宗教戦争としての側面もあると言われています。
元々、カトリックとロシア正教は対立関係にあり、カトリックを母体とした西洋社会の影響を隣国であるウクライナから排除したいといった思惑がロシア正教会にはあると考えられています。
ウクライナ戦争の背景としては、元々ロシアの前身のソ連時代の共和国だったウクライナが敵であるイギリス・フランス・ドイツの影響下に置かれることを
プーチン大統領が嫌ったからという見方が有力ですが、上記のようにキリスト教国ではない日本人には理解しにくい、”カトリックとロシア正教”という背景もある
ことも押さえておく必要があると思います。
・聖地
モスクワにあるトロイツェ・セルギー大修道院は、ロシア正教最大の聖地といわれています。
1345年、聖人セルギーによって、三位一体を記念して建造されたのが起源となっています。
・信者数
ロシア正教会には約1億人の信者がいると言われています。
・日本におけるロシア正教
日本における正教会は、19世紀後半、聖ニコライによって伝えられました。
現在、日本ハリストス正教会（日本正教会）には、約1万人の信者がいるとされています。
ロシア正教とキリスト教（カトリック・プロテスタント他）との違い
・ロシア正教とカトリックとの違い
この点、カトリックも正教会も元々は一つの宗派でしたが、1054年の大シスマによって、西方教会（カトリック）と東方教会（ロシア正教、ギリシャ正教など）とに分裂しました。
これは、歴史上もっとも大規模な宗教分裂であり、大シスマと呼ばれています。
両者は、古くからの伝統的なキリスト教を守り続けようとしている点では同じですが、信仰面で以下のような違いもあります。
まず、三位一体の聖霊についての考えが異なります。
カトリックでは、「聖霊は父と子であるキリストから発する」と考えているのに対して、ロシア正教では「聖霊は父から発する」と考えます。
また、原罪（人間は皆生まれながらにして罪人であるという考え）に対する考え方も異なります。
カトリックは原罪があると考えていますが、ロシア正教では無いと考えており、性善説に依拠していることになります。
従って、ロシア正教と西欧では主流のカトリックとの関係は、良好とは言いがたいです。
キリスト教国ではない日本国民にはわかりにくいことですが、長年にわたる西欧とロシアの対立には、キリスト教における
宗派争いという側面もあることを理解する必要があります。
・ロシア正教とプロテスタントとの違い
大シスマ後、西方教会はマルティン・ルターの宗教改革により、カトリックとプロテスタントとに分かれることなります。
プロテスタントの特徴としては、カトリックやロシア正教と違い、形式的な伝統を重視していないことです。
大切なのは一人一人の信仰であると考え、信仰のみよって救われると説きます。
そのため、形式的な儀式などはあまり重視せず、教会などもロシア正教会に比べて簡素なものとなっていたりします。
・ロシア正教と英国国教会との違い
英国国教会とは1534年にローマ・カトリック教会から独立した英国のキリスト教会のことです。
英国国教会のトップは国王又は女王であり、現在はエリザベス2世がその地位にいます。
英国国教会の特徴として挙げられるのが、キリスト教の改革を追及しているということです。
その他の宗派との交流も活発であったり、また女性が司祭になることも認められています。
ロシア正教が古くからの伝統に重きを置いているのとは違うといえるでしょう。
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