共産主義が憲法違反とされるドイツと日本の違いとは?

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アメリカのトランプ大統領は、人類史上初となる共産主義国のソビエト連邦が誕生するきっかけとなったロシア革命から100年にあたる2017年11月7日、
”前世紀から、世界の共産主義者による政権は1億人以上の人的被害をもたらし、その数倍にものぼる人々を搾取、暴力、そして荒廃した悲惨な社会をもたらしました。今も共産主義に苦しむ全ての人々に思いをはせます”と演説しました。

同じ2017年11月7日に安倍首相は、総理大臣官邸で新型インフルエンザ等対策訓練に参加しておりロシア革命ひいては共産主義に対する批判等のコメントは一切ありませんでした。
トランプ大統領は過激な発言・行動で悪名高いですが、この共産主義に関する演説は、過激ではなく、欧米では標準的なスタンスなのです。

実際、アメリカ政治でトランプ大統領とは対立する民主党系の政治学者ブレジンスキー氏も”20世紀における人類の共産主義との遭遇ほど、無意味で大きな犠牲を引き起こしたものはなかった”と言及しています。



■共産党の存在自体が憲法違反のドイツ

戦後の西ドイツ(現ドイツ)では、反ユダヤ主義を掲げるヒトラーが議会選挙を通じて、政権を握った反省から日本の憲法に相当する基本法第21条第二項で
”政党で、その目的または党員の行動が自由で民主的な基本秩序を侵害もしくは除去し、または、ドイツ連邦共和国の存立を危うくすることを目指すものは、違憲である”としています。

西ドイツ政府が、ドイツ共産党がこの条項に該当するとして憲法裁判所に提訴、共産党は抗弁しましたが、西ドイツ政府の主張が認められ、ドイツ共産党は存在自体が違憲であると認定されたのです。

1953年にドイツ共産党の議席はゼロとなり、現在に至っています。

憲法裁判所が、ドイツ共産党を違憲とした主な理由としては、マルクス・レーニン主義を掲げていること、共産党の政治手法であるプロレタリア独裁が民主主義に反すること等があります。

要するに共産党というより共産主義思想そのものを違憲としたのに等しい判決だったのです。

当時、西ドイツが分断国家として共産主義国の東ドイツと対峙していたことを割り引いたとしても、共産主義に対する否定的な評価が際立っています。

ドイツ生まれの社会科学者のマルクスが産み出した共産主義が母国のドイツで最低ともいえる評価しか得られていないのは皮肉です。




一方、日本では先進国の中では、”共産党が国会に議席を得ている”稀有な存在となっています。

■日本における共産党の位置づけと一定の勢力を維持している背景

共産党員が約30万人という先進国では、もっとも共産党勢力が強い国なのです。

かつて、フランス共産党も国会に多数の議席を占めていたことがありましたが、ソ連邦崩壊後、党名を左翼民主党に変更しています。

日本で共産党勢力が強いのは、ドイツのように憲法違反とはされていないことが大きいです。

その代わり、日本の政党で唯一、破壊活動防止法の監視対象団体となっています。

共産主義の故郷ともいえるヨーロッパで共産主義や共産党がほぼ絶滅したのになぜ、日本では、一定の勢力を維持しているのかについては、ヨーロッパのほうが隣国が共産主義国だった時代が長かったことで、”共産主義の悲惨さ”を身近な存在として記憶しているからではないかと考えられています。

ただ、日本固有の特長としては、国政選挙等で日本共産党に投票する人の相当数が共産主義を支持しているわけではないということです。

実際、普段は自民党を支持し投票している人でも”今回はお仕置きのため共産党に入れる”という行動をとることは珍しくないのです。

このように共産主義を支持しているわけではないのに共産党に投票するという行動パターンは欧米の政治感覚とは相容れないものでしょう。

■日本共産党は護憲政党か?

日本共産党は、国政選挙のたびに護憲を掲げています。
しかし、1946年には日本共産党憲法草案を発表して現行憲法に反対しました。

また、共産党の憲法ともいえる最新の綱領では、
天皇制について”その存廃は、将来、情勢が熟してきた時に、国民の総意によって解決されるべきものである”としており、天皇を国民の象徴とする現行憲法とは相容れないスタンスを表明しています。

また、まずあり得ませんが、共産党が政権を握ると自衛隊は共産党の軍隊という位置づけに変わります。

共産党が政権を握ったら、日米同盟解消どころか敵国になりますので、現行の防衛費よりはるかに高い予算が必要になるでしょう。

このように日本共産党が護憲を主張していますが、それは自分たちが政権を握るまでのスタンスという見方もできそうです。



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