共産党が天皇制反対の立場をとる理由と歴史的経緯をわかりやすく説明

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日本共産党は、創立以来、一度も党名を変更したことがない日本で唯一の政党ですが、その政策は時代により変化しています。


創立以来、天皇制に対して一貫して否定的なスタンスをとる日本共産党

日本共産党が実現を目指す共産主義体制はロシア革命にみられるように王政とは、絶対的に共存できない政治体制ですので、日本独自の王政である天皇制については、党創立以来一貫して否定的なスタンスを貫いています。

実際、党の機関紙である赤旗にはこれまで一度も元号が使用されたことはありませんし、天皇が出席する国会の開会式には全議員が欠席するのが通例でした。

その後、国会の開会式については方針を変更し、2016年1月4日召集の通常国会から出席するようになっています。

そもそも天皇制という政治用語は共産党が作り出した言葉です。

天皇崇拝派は、天皇制という政治体制を表するような言い方はしません。

共産党は創立当初は、天皇制廃止を党として重要な政策課題にしていましたが、最近では、”天皇制の存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決すべき”と微妙な言い回しになっています。

共産党がどのような政治を目指していくのかについては、党の綱領が目安になります。

党の綱領は、国でいえば憲法、会社でいえば経営方針のようなもので、共産党は党の綱領によって規定された政策課題を実現すべく日々活動をしています。

共産党の綱領は、党のトップの交代や国際情勢、国内世論の動向によってガラリと変更されることがあります。

ですので、共産党がこれまで天皇制にどのようなスタンスであったかを知るためには、その時々の綱領を見ていくことで明らかになります。

創立当初から戦前までの共産党と天皇制に対するスタンス

戦前の日本共産党は、ソ連に本部があった国際共産主義運動の指導組織コミンテルンからの指示に基づいて活動をしていました。

この時期の共産党にとっては、コミンテルンからの指示であるテーゼが綱領に等しい存在とされていました。

1932年5月にコミンテルンで決定された”日本における情勢と日本共産党の任務に関するテーゼ”で、戦前日本の支配体制を、絶対主義的天皇制、地主的土地所有、独占資本主義の3ブロックの結合と規定。

天皇制については、”1868年以後に成立した絶対君主制”見做し、打倒されるべき体制として位置づけられました。


戦後の共産党と天皇制

第二次大戦後、共産主義の母国ソビエト連邦は戦勝国となり、また東欧圏がソ連の後押しによって、次々と共産国になったことに加え、中国までも共産主義体制に移行したことで日本共産党は、”日本にも共産革命の機運が来た”というように国際情勢を捉えていました。

1951年に定めた党の綱領で、「共産主義体制が平和の手段によって達成しうると考えるのはまちがいである」と主張。

暴力革命路線に舵をきり,日本各地で騒乱や警察官に対する襲撃事件を引き起こしました。
破壊活動防止法が制定されたのは、この共産党の路線変更がきっかけでした。

当時の革命の目標には天皇制廃止も視野に入っていましたので、戦前からの共産党の天皇制に対する否定的な立場を戦後も踏襲していました。

現在の共産党と天皇制

現在の共産党は、2004年に定められた綱領に従って活動をしています。
この時点の党の綱領によると天皇制について、以下のように言及しています。

”天皇条項については、「国政に関する権能を有しない」などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する。

 党は、一人の個人が世襲で「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。

天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである。”

要するに表現は柔らかいものの将来的には共産党は”天皇制は廃止すべきもの”と捉えています。



2019年は、平成最後の年として、天皇の退位と新たな天皇の即位、それに伴う元号の変更という特筆すべき年となっています。

共産党が天皇制についてどのようなスタンスであるのかが明らかになりやすい年ともいえます。

実際、現在の日本共産党のトップである志位和夫委員長は、2019年2月28日の記者会見で、「元号は、もともとは中国に由来するもので、『時をも君主が支配する』との考えからきている。日本国憲法の国民主権の原則になじまないと考えている」と述べ、「元号はいらない」という立場を明確にしました。

ただ、日本共産党は常日ごろ、現行憲法の改正絶対反対を唱え、護憲派を自認していますが、上記の主張は天皇を国民の象徴と規定する現行憲法に反するものといえますので、その主張の整合性に疑問があるといわざるを得ないという見方が有力です。

まとめ

①日本共産党は、創立以来、天皇制について一貫して否定的な立場を貫き、現在に至っています。

②共産党が天皇制反対の立場をとるのは、党が目指す共産主義社会と王政である天皇制が共存できないからです。

③2016年1月4日召集の通常国会から、それまで欠席するのが通例であった天皇が出席する国会の開会式に一転して参加するようになったことで、共産党のそれまでの天皇制に対する強硬路線から、ソフト路線に転じたと看做されています。

④天皇制と一体不可分ともいえる元号について、日本共産党のトップである志位和夫委員長は、2019年2月28日の記者会見で”元号はいらない”という立場を明確にしました。


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