南北線(東京メトロ)品川地下鉄として2030年代に白金高輪から品川まで延伸予定

建設・開発計画関連情報

山手線の主要なターミナル駅で唯一地下鉄が通っていない品川駅に2030年代に東京メトロ南北線が品川地下鉄として延伸する
計画が2021年に大きく前進しました。

2021年12月に複数の報道機関が”政府と東京都が、南北線を品川駅まで延伸させる計画を本格的に進める方針を固めた”と報じました。

2016年4月に交通政策審議会より答申された第198号答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」において、
国際競争力強化の拠点となる地域へのアクセス利便性の向上に資する主なプロジェクトとして東京メトロ有楽町線の延伸と東京メトロ南北線の品川駅までの延伸が位置付けらました。

過去に交通政策審議会より答申された地下鉄等の新路線や既存の路線の延伸は、その後10年前後で実現していますので、長らく品川駅の”地下鉄が通っていない”という長年の弱点は解消されそうです。

品川駅は2027年に開通が予定されている中央リニア新幹線の起点駅となりますので、品川地下鉄は、完成の暁には重要路線となりそうです。

南北線(東京メトロ)品川地下鉄構想は、白金高輪と品川駅のわずか1駅の延伸に過ぎませんが以下のような評価がされています。



南北線(東京メトロ)品川地下鉄構想に対する評価・課題

品川地下鉄の事業・収支見込

第198号答申答申を踏まえ、2019年3月に国土交通省鉄道局において、有楽町線延伸・品川地下鉄構想を対象として「東京圏における国際競争力強化に資する鉄道ネットワークに関する調査」(以下2019年調査)が実施されました。

2019年調査によると品川地下鉄(白金高輪~品川)の事業費は約 800億円で1日 約13.4万~14.3万人の乗客が見込め、 開設して16~19年目に黒字となる収支予想となり、事業計画として概ね良好という評価を得ました。

第198号答申以降、品川駅周辺の開発については、地域の将来像や整備のあり方等を示したガイドラインの改定・策定、国道15号・品川駅西口駅前広場「事業計画」の策定など、国際交流拠点の形成に向けた動きが進んでおり、品川地下鉄構想の事業見通しが
さらに明るくなっているという判断がなされています。

品川地下鉄構想の意義

第 198 号答申において、六本木等の都心部とリニア中央新幹線の始発駅となる品川駅や国際競争力強化の拠点である同駅周辺地区とのアクセス利便性向上に資する路線であると評価

品川地下鉄構想の整備が想定されている品川駅西口エリアにおける事業である国道15号・品川駅西口駅前広場「事業計画」において、品川地下鉄構想と連携して取組みを進めていく旨の記載がされている。

課題

品川地下鉄構想は、”検討熟度が低く構想段階であるため、関係地方公共団体等において、事業主体を含めた事業計画について十分な検討が行われることを期待”と表記。

同じ東京メトロ有楽町線の延伸計画が地域の自治体や住民と一体となった動きがあるのに対して、住民・利用者不在の開発主導的な状況にあることに懸念を示しています。



東京都が交通政策審議会において、品川地下鉄構想に関連して提示した品川駅周辺の開発状況は以下の通りです。

東京都は品川地下鉄構想が以下の開発とリンクすることで延伸路線の必要性や意義を強調しています。

品川駅周辺の開発状況

・品川駅北周辺地区(1街区~4街区)
延床面積:約85.1万㎡(全体)
1街区 地上45階/地下3階
2街区 地上 6階/地下4階
3街区 地上31階/地下5階
4街区 地上30階/地下3階
完成時期:2024年度
特 徴:業務、ホテル、商業、
MICE等の複合施設

・ 品川駅西口地区(仮称)
(シナガワグース跡地活用)
延床面積:約20万㎡超
特 徴:ホテル、商業、オフィス、
MICE等
※具体的な整備時期等は今後確定

・泉岳寺駅地区第二種市街地
再開発事業
延床面積:約11万㎡
地上30階/地下3階
完成時期:2027年度
特 徴:オフィス、商業、住宅

・品川駅街区地区土地区画整理事業
面 積:約2.9ha
事 業 費:約288億円
事業期間:平成31年度~令和19年度

・品川駅北周辺地区土地区画整理事業
面 積:約15.5ha
事 業 費:約722億円
事業期間:平成28年度~令和15年度

・リニア中央新幹線整備事業
(2027年暫定開業)

・環状第4号線整備事業
(2027年度 港南口~北口広場開通)

・京浜急行本線連続立体交差事業
(泉岳寺~新馬場駅間)
(2027年度 駅地平化)

・国道15号品川駅西口
基盤整備事業




品川地下鉄構想に対する東京都と東京メトロのスタンスは、下記のように相当な温度差があります。

品川地下鉄構想に対する東京都と東京メトロのスタンス

東京都のスタンス

リニア中央新幹線や羽田空港など広域的な交通結節点である品川駅と都心部等をつなぐことは、都心部のポテンシャル向上に寄与。

また、品川駅周辺の開発による効果を広域に拡充することにも寄与する路線。

品川駅周辺の開発の進展を踏まえ、事業化に向けた路線への位置付けについて検討し、計画を早期に具体化していく必要。

東京メトロのスタンス

これまでの完全民営化を目指した閣議決定や法律の規定を踏まえ、新線建設は行わない方針。

仮に新線建設への協力を求められるとしても、経営の健全性を崩さないことが大前提。

東京メトロのスタンスを踏まえ、品川地下鉄建設に際しては、地下高速鉄道整備事業費補助
や独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による都市鉄道融資の活用が検討されています。

東京メトロの完全民営化は閣議決定や法律の規定を踏まえているため、品川地下鉄は第三セクター方式による建設・開発・運営となることが有力です。

今後のスケジュール予定

今後、品川地下鉄構想の環境への影響を評価する調査などを22年度から2年ほどかけて実施、東京メトロが事業計画を策定する予定。

白金高輪駅から品川駅の建設には10年ほどかかる見込み。

延伸が実現すれば、都内での地下鉄の新路線は2008年に開通した副都心線以来となります。




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