国立(くにたち)の名前の由来とは?その歴史や背景を詳しく解説

地名の由来

東京都国立市の国立駅界隈は緑も多く、東京の都心や繁華街とは一線を画した落ち着いた雰囲気があります。




国立は、高級住宅街としても知られている一方、一橋大学・津田塾大学に国立音楽大学と著名な大学のキャンパスもある学園都市という側面も持ち合わせています。

一方で、東京都内はともかく全国的には”国立”を”くにたち”と正確に読める人は決して多くはないようです。

実際に1980年の夏の甲子園で都立国立高校が出場した時に
”とりつこくりつこうこう?”、”一体、この高校 都立なのか国立(こくりつ)なのか?”とNHKの試合中継を見ながら首を捻った人も多かったということです。


そんな国立ですので、国立という地名の由来にはさぞ、歴史的な経緯があるものと想像する人も少なくないようです。

実は、私も国立の名前の由来には、NHKの人気番組ブラタモリでも取り上げられるくらいの特筆すべき長い歴史や背景があるものとばかり思っていました。

■国立の名前の由来とは?

国立の名前の由来は、大正時代にそれまで谷保といわれていた村を開発するにあたり、新しい駅を設置することに起因します。

この時の開発の主目的は、当時の東京商科大学(現在の一橋大学)を谷保に誘致して学園都市にするというもので、現在の西武鉄道グループの前身の会社が中心となって進めました。 

国立市内に大学が多いのはこの時の開発に端を発しています。

新しい駅の名前を考えたときに谷保が現在のJR中央線の”立川駅と国分寺駅の中間にあるので両駅の頭文字を組み合わせて国立駅にしたらどうか”ということで新しい駅の名前が国立に決定されました。

その後、開発された国立駅を中心に町が発展したため、国立が市の名前になり、現在に至っているのです。

つまり、国立の地名としての由来は、駅名にあるということです。

そもそも駅名の由来は、地名を由来とすることが多いのですが
国立の場合は駅の名前が地名、市の名前になったという珍しい事例です。

ちなみに前身の谷保という村の名前は国立市谷保という名前で現在も存在しています。
JR南武線の駅名にも谷保という名前は残されています。




■国立音楽大学は国立??困惑する全国の音大受験生多数!?

国立という地名が原因で、全国的、特に音楽大学受験生にとって悩ましい?のは国立音楽大学ではないでしょうか。

私には地方出身の音楽家の知り合いがいますが、国立(くにたち)という地名があることを知らなかったので、国立音楽大学は国立(こくりつ)の音楽大学だと思い込んでいたそうです。

東京には東京藝術大学の他に国立の音楽大学がもうひとつあると思っていたと真顔で語っていました。

もっとも国立音大を受験対象にしてからも”国立(こくりつ)”と思っている人は、さすがにいないとは思いますが、紛らわしい大学名であることは間違いないでしょう。

国立音楽大学出身者というとクラシック界に多くの人材を輩出しているのはもちろん、異分野では女子アナの女王と称される元フジテレビアナウンサーカトパンこと加藤綾子アナが卒業生です。

私の知る限り、国立音楽大学自体は、その学校名の読み間違いに注意を喚起するといったことはしていないようです。

もしかしたら、学校側からすると”国立(こくりつ)”と思われてもマイナスにはならないと考えているからかもしれません。

もし、間違いを防ぐなら”私立国立音楽大学”とすべきなのかもしれませんが
それだと前述の都立国立高校の二の舞になりかねないので難しいところでしょう。

国立市の大学というと千代田区の一ツ橋に学校名の由来があるのに国立にある
一橋大学も紛らわしいと思う人もいるかもしれません。

国立市内の大学ではありませんんが横浜国立大学というのも微妙な存在です。

恐らく、地名を国立(くにたち)とした先人は、その地名が国立の学校と混同する可能性があるなどと全く考えもしなかったのでしょう。

■まとめ

地名好きな筆者ですが、国立ほどその正確な読み方がわからないことによる影響が大きい地名はないのではないかと思います。

それは、国立が学園都市として開発されたため、市の規模の割には有力な大学が多いためですが、国立は観光地でもなければ、わざわざ出かけるほどのプレイスポットがあるわけでもありません。

ですので、もう一度都立国立高校が甲子園に出場する等、全国的に地名をアピールする機会がない限り、”国立をくにたち”と正確に読める人の数は増えそうもありません。

閑静な国立にとっては、もしかしたら今の状態が好ましいのかもしれません。



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