天才高校生棋士の藤井聡太八段の王位・棋聖のタイトル奪取で将棋のタイトルに注目が集まっています。
そこで将棋歴ン十年のアマ三段の強豪?である筆者が将棋タイトルを格や序列・賞金で比較、タイトル戦の歴史を踏まえてわかりやすく説明します。
将棋のタイトルの格と序列について
現在の将棋界のタイトルの格と序列は、1987年に創設された竜王戦を期に大きく変化しています。
竜王戦創設以前の将棋のタイトルの格と序列
竜王戦がまだ前身の十段戦であった1986年までは、将棋のタイトルの格と序列は一致していました。
具体的には以下の通りです。
名人
王将
十段
王位
棋聖
王座
棋王
※叡王戦は、この時期には存在していません。
名人位が将棋のタイトルの格と序列で一番の理由は、その歴史の長さからです。
王将位が2番手なのは、もともと名人戦を主催していた毎日新聞から朝日新聞に移管されたのを機に第二の名人戦として創設されたという背景があります。
また、棋聖位は、元々王位戦を主催していた産経新聞が主催を降り、新たなタイトル戦として創設されました。
王座戦は、最初はタイトル戦ではありませんでしたが途中から現行の5番勝負によるタイトル戦に移行しています。
以上のように竜王戦創設以前の将棋のタイトルの格と序列は、その歴史や創設されたいきさつ等で決められていました。
竜王戦創設移行の将棋のタイトルの格と序列
竜王戦創設移行の将棋のタイトルの格と序列は、竜王戦創設以前までと一変しました。
その理由は、以下のような竜王戦の歴史が大きく影響しているからです。
①竜王戦の格と序列をめぐる歴史
竜王戦が1987年に創設された際、主催の読売新聞と日本将棋連盟で賞金額をめぐり、対立しました。
当時、読売は囲碁では棋聖戦を主催しており、囲碁界において棋聖位は最高のタイトルとして位置づけられ、賞金額も3000万と当時としては破格でした。
ところが、竜王戦の賞金額が3000万を下回ったことから、日本将棋連盟が”将棋と囲碁の賞金額は同等であるべき”と抗議したのです。
それに対して、読売側は、”竜王戦の格と序列を常に名人戦と同等かそれ以上に扱うのなら、囲碁の棋聖と賞金額を同じにする”と回答。
将棋連盟がこれに応じたことで、創設されたばかりの竜王戦が伝統と格式を誇る名人戦と同等以上の格と序列のタイトル戦として処遇されることになりました。
実際、豊島竜王は、名人位との2冠を保持していたときは、豊島竜王・名人と表記されていました。
豊島名人・竜王とはならないのは、竜王が名人より序列が上だからです。
②現在の将棋のタイトルの格と序列
現在の将棋のタイトルの格と序列は、名人位と竜王位の格は同等ですが賞金額が大きい竜王位のほうが序列が上に位置づけられています。
賞金額が大きい竜王位のほうが序列が上になるということを契機に現在の将棋のタイトルの序列は、その歴史やいきさつとは無関係に賞金額の大きさによって決められています。
具体的には以下の通りです。
竜王(賞金額 4400万円)
名人(賞金額 約3000万円)
叡王(賞金額 約2000万円)
王位(賞金額 約1500万円)
王座(賞金額 約1400万円)
棋王(賞金額 約1000万円)
王将(賞金額 約800万円)
棋聖(賞金額 約700万円)
竜王と名人は同格であるものの賞金額が大きい竜王が序列が上ということになります。
以前は名人位に次ぐ序列にあった王将位や今期で92期と長い歴史を誇る棋聖位が序列で下位というのが時代の流れを感じます。
その一方今期で5期目と創設されたばかりの叡王位が序列3位ということが対照的です。
将棋ファンが考える将棋タイトルの格や序列
将棋歴ン十年のアマ三段の強豪?である筆者は、これまで対局等を通じて、何百人もの将棋ファンと交流してきました。
その中では、当然、将棋のタイトルの話が頻繁に出ます。
これまでの経験からですが将棋ファンの多数は、その賞金額に関わらず名人位が格も序列も1位だと考えています。
その理由としては、大山康晴名人や升田幸三名人から中原誠名人、光速の寄せで史上最年少で名人となった谷川浩司名人に羽生善治名人とその時々の長い将棋史を代表してきたのは常に名人だったからです。
実際、将棋ファン同士の会話では大山大名人といっても、渡辺大竜王とはいいません。
また、名人位の他のタイトルに比べての”成りにくさ”もポイントです。
つまり、他のタイトルがプロになったばかりの棋士から九段の棋士まで勝ち進めば、どの棋士にも獲得できる可能性があるのに対し、名人位は棋界最高峰のA級に昇級しなければ挑戦する資格さえ得られないからです。
ですので将棋ファンからすると賞金額が多いから竜王戦のほうが名人戦より序列が上という考えには理解を示しても、心情的には名人位が最高だと考えている人が多数を占めています。
まとめ
①将棋界のタイトルの格と序列は、1987年に創設された竜王戦を期に大きく変化しています。
②1987年以前の将棋のタイトルの格と序列は、その歴史や創設のいきさつ等で決められ
名人
王将
十段
王位
棋聖
王座
棋王
の順でした。
※叡王戦は、この時期には存在していません。
③現在の将棋のタイトルの格と序列は、賞金額によって決められ、
竜王(賞金額 約4400万円)
名人(賞金額 約3000万円)
叡王(賞金額 約2000万円)
王位(賞金額 約1500万円)
王座(賞金額 約1400万円)
棋王(賞金額 約1000万円)
王将(賞金額 約800万円)
棋聖(賞金額 約700万円)
の順となっています。
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