将棋の世界では、プロ棋士の段位や級によって大きく年収や収入源が異なってきます。
さらに、タイトル戦の賞金額や報奨金が公表されないなど、謎に包まれたプロ棋士の年収や収入源ですが、一体どこから収入が発生しているのでしょうか?
この記事では、将棋プロ棋士の収入源がどこから出ているのか、年収の内容について解説していきます。
将棋プロ棋士の収入源は?
そもそも将棋を指すだけでなぜ収入が得られるのか?
プロ棋士の収入は、対局料 タイトル戦などの賞金が、主な収入源になりますが、このお金は誰が出すのでしょうか?
各棋戦にはスポンサーがついていて賞金・対局料はこのスポンサーから出ています。将棋のスポンサーは昔から新聞社が多いですが、他にはテレビ局やIT企業などが名を連ねています。
このスポンサー企業各社と日本将棋連盟が各棋戦ごとに契約し、賞金と対局料はその契約金の中から支払われています。
主な将棋の棋戦のスポンサーは、以下の通りです。
8大タイトル戦
竜王戦:読売新聞、野村ホールディングス(特別協賛)、東急グループ(協賛)
名人戦:朝日新聞・毎日新聞、大和証券グループ(協賛)
王位戦:新聞三社連合(中日新聞・北海道新聞・東京新聞)、神戸新聞、徳島新聞、西日本新聞
王座戦:日本経済新聞
棋王戦:共同通信社
叡王戦:不二家
王将戦:スポーツニッポン・毎日新聞、囲碁・将棋チャンネル(協賛)
棋聖戦:産経新聞、ヒューリック(特別協賛)
一般棋戦
朝日杯将棋オープン戦:朝日新聞
銀河戦:囲碁・将棋チャンネル
NHK杯テレビ将棋トーナメント:日本放送協会(NHK)
将棋日本シリーズJTプロ公式戦:日本将棋連盟他、日本たばこ産業(協賛)
プロ棋士に基本給はある?
以前は、順位戦のクラスによって決まる基本給が支払われていました。(フリークラスの場合は除く)
基本給は名人が最も高く、A級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組と下がる毎に、1つ上位の7割前後が基本給となっていました。
ところが、2011年3月4日に日本将棋連盟が公益社団法人化されると、基本給は原則廃止され、対局料・賞金、そして将棋普及活動への報酬に回されるようになりました。
しかし、多くの棋戦はトーナメント方式なのに対し、順位戦は、リーグ戦方式で保証されている対局数によって支払われるため、その対局料が基本給料の代わりになっています。
対局料とは?
対局料とは、対局することでもらえるお金です。
対局料は公式に発表されていないのですが、トーナメント方式では勝てば勝つほど、数多く対局できるため、強いプロ棋士は多くの対局料をもらうことができる仕組みになっています。
対局料と賞金の違い
賞金とは、対局に勝って優勝や準優勝など一定の成績をあげて獲得できるお金ですが、対局料は勝敗に関係なく対局しただけで得られるお金です。
プロ将棋界には大きく分けて8つのタイトルがあり、そのタイトル戦を勝ち抜くと高額な賞金がもらえます。
タイトルの賞金は下記の通りです。
竜王戦 4400万円
名人戦 2,000~2,500万円
叡王戦 2,000~2,200万円
王位戦 1,000~1,200万円
王座戦 700~1,000万円
棋王戦 700~1,000万円
王将戦 400~500万円
棋聖戦 650~750万円
タイトル戦の賞金は竜王戦以外は公表されていませんので、竜王戦以外は優勝されたプロ棋士の獲得賞金から推測された金額になります。
名人戦・順位戦による対局料の違い
対局料は棋士の実力によってクラス分けされたり、対局の重要度や注目度によって金額が変化することがあります。
例えば、連覇達成なるかどうかなど、重要度が高ければそれだけ対局料が増額されます。
しかし、日本将棋連盟は対局料について詳細なことを明かしておらず、はっきりとした金額は不明です。
平均で15~50万円の間に収まる金額ではないか、と言われています。
そして、名人戦七番勝負における対局料は、名人1,050万円、挑戦者450万円の定額と言われています。
フルセット戦うと、一局あたり、名人150万円、挑戦者64万円強となります。
段位があがると収入はあがる?段位と収入の関係とは?
段位によって対局料や賞金額が変わってくることはありませんが、副収入源の中の「指導料」は段位によって報酬額が変わってくると言われています。段位ごとの指導料は下記の通りです。
九段:30万円程度(大会審判)
八段:20万円程度(大会審判)
七段:8万円程度(月1回稽古3時間)
六段:4万5千円程度(月1回稽古3時間)
五段:4万円程度(月1回稽古3時間)
四段:3万5千円程度(月1回稽古3時間)
対局以外の収入源とは
プロ将棋界は、当然勝負の世界ですから、勝ち上がって上のクラスに行けば賞金・対局料も上がって大きな収入を得られます。
しかし下のクラスだとそうもいきません。
そのため、この他にもさまざまな分野から収入を得ていますが、プロ棋士の他の収入源にはどんなものがあるのでしょうか?
将棋のプロ棋士の賞金・対局料以外の収入源としては、主に以下のようなものがあります。
指導対局による収入
子どもやプロを目指す人への対局指導を行います。
最近だとZoomを用いてオンラインでのレッスンもあるようです。
解説による収入
NHK杯トーナメント等、テレビや新聞、ネット中継等で他の棋士の対局を解説することにより得る収入です。
著書による収入
本を出版したり、グッズ販売などを行うと印税収入がもらえます。
将棋教室・将棋の指導
対局料や賞金で十分な年収がもらえないプロ棋士は将棋教室や将棋イベントに参加して指導することでお金をもらいます。
将棋教室は規模によって異なりますが、月収10万円程度が相場だと言われていて、指導は1回あたり3万円〜4万円が相場だと言われています。
上記以外には、企業の将棋部の顧問役で収入を得るという方法もあります。
今や株主優待で有名な元棋士の桐谷さんは、現役時代にある証券会社の将棋部の顧問となったことで、株式投資を始めたそうです。
その他 CM等
トッププロと言われる棋士になると、メディアへ出演することでお金をもらえます。
プロ棋士の平均年収はどれくらい?
現在プロ棋士は160人程度の人がおり、実力によって年収はかなり開きがあります。獲得賞金・対局料ランキングトップのプロ棋士は1億円前後を稼いでいます。
全体的な平均としては年収700万~800万ぐらいと見られ、最下位の方の場合は400万程度と言われています。
日本の平均年収は450万円と言われているため、一般的な平均よりは高いです。
しかし、プロ野球選手やプロサッカー選手に比べると平均年収は低く、プロ野球選手は3,500万円〜4,000万円で、プロサッカー選手は2,000万円〜2,200万円と言われています。
藤井5冠の年収はどれくらい?
藤井聡太5冠の年収は、1億円を超えると予想されています。
藤井5冠は、若くして29連勝を成し遂げ、2022年2月12日に王将戦で渡辺明王将を破り、史上最年少19歳6ヵ月で五冠を達成。
竜王、王位、叡王、王将、棋聖のタイトルを獲得しました。
独特な雰囲気があって人気があるため、CMにも出演しています。
過去には、日本郵便、サントリー、不二家のCMに出演しています。賞金や対局料の他にCM契約料が大きそうです。
プロ棋士の賞金・対局料ランキング
2021年の年間獲得賞金・対局料トップ10を見てみると次のようになっています。
2021.1.1~2021.12.31 (カッコ内は2020年の獲得額/単位は万円、金額は推定)
順位 氏名 獲得額 昨年順位
1 渡辺明 名人 8,194 (8,043) 2
2 豊島将之 九段 8,145 (10,645) 1
3 藤井聡太 竜王 6,996 (4,554) 4
4 永瀬拓矢 王座 4,821 (4,621) 3
5 羽生善治 九段 3,236 (2,491) 6
6 斎藤慎太郎 八段 2,567 (1,338) 16
7 木村一基 九段 2,245 (2,338) 8
8 糸谷哲郎 八段 1,876 (1,502) 11
9 稲葉陽 八段 1,703 (1,395) 14
10 菅井竜也 八段 1,674 (1,445) 13
棋士(プロ棋士)の生涯年収は?
実力によりますが、将棋連盟によると下記の生涯年収の内容が出ています。(1991年度~2011年度まで)
羽生善治 22億1343万
谷川浩司 10億4788万
佐藤康光 8億6033万
森内俊之 7億5999万
渡辺_明 5億0820万
中原_誠 4億5771万
丸山忠久 4億4367万
郷田真隆 4億2333万
藤井_猛 4億0018万
森下_卓 3億2966万
深浦康市 3億0004万
久保利明 2億9892万
高橋道雄 2億6245万
三浦弘行 2億1895万
上位クラスになると約20年程度でサラリーマンの生涯年収の数十倍を稼いでしまうようです。
まとめ
プロ棋士の収入源はどこから発生しているか、タイトル戦の賞金額をもとにプロ棋士の年収について今回まとめてきました。
プロ棋士の年収は主に賞金や対局金で、報酬金がどこから出されているかというとスポンサー企業からということになります。
年収に関しては段位や階級によって左右されるので、まさに勝負の世界であるため実力社会と言えるのではないでしょうか?
最後に振り返りとして、今回解説した「プロ棋士の収入源」についてのポイントをまとめます。
①プロ棋士の収入源は?
主な収入源は、将棋の賞金・対局料であり、そのお金は各棋戦のスポンサーから出ていますが、新聞社が最も多く、他にはテレビ局やIT企業などです。
②名人戦・順位戦による対局料の違い
日本将棋連盟は対局料について詳細なことを明かしておらず、はっきりとした金額は不明です。
平均で15~50万円の間に収まる金額ではないか、と言われています。
名人戦七番勝負における対局料は、名人1,050万円、挑戦者450万円の定額です。
③段位があがると収入はあがる?段位と収入の関係とは?
段位によって対局料や賞金額が変わってくることはありませんが、指導料は段位によって報酬額が変わってくると言われています。
④対局以外の収入源とは
指導対局による収入/解説による収入/著書による収入/将棋教室運営/CM等、
があります。
⑤プロ棋士の平均年収はどれくらい?
獲得賞金・対局料ランキングトップのプロ棋士は1億円前後を稼いでいます。
全体的な平均としては年収700万~800万ぐらいと見られ、最下位の方の場合は400万程度と言われています。
⑥プロ棋士の生涯年収は?
実力によって大きく左右されますが、上位クラスになると約20年程度でサラリーマンの生涯年収の数十倍を稼いでしまうようです。
今回は、プロ将棋界の年収についてまとめさせて頂きました。少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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