帝国主義とは?わかりやすく@ローマ帝国とはどう違う?

■帝国主義とは?

帝国主義とは19世紀に起こった産業革命により、資本主義的経済を発展させたイギリスやフランス等のヨーロッパ列強諸国が、自国の経済利益拡大のためにアフリカやアジアの国々を植民地化していった政策・行動を意味します。

帝国主義によって、1914年までに当時、約3億人が住んでいた約3000万キロ平方メートルの国や領土が植民地としてヨーロッパ列強諸国の支配下に入りました。

中でも当時でも世界的な大国であったインドは、イギリス領インド帝国となりました。

イギリス領インド帝国は「イギリス国王の王冠にはめ込まれた最大の宝石」とよばれ、イギリス本国に大きな経済的利益をもたらしました。

これが、この時期の帝国主義の典型的な事例です。




日本も台湾や韓国を植民地化しましたが、学校を整備する等、現地住民の教育インフラにも投資しました。

一方、ヨーロッパ列強諸国は、植民地から経済的利益を得ることしか考えていませんでしたので、現地住民に資する投資は行いませんでした。

また、植民地とされた国や領土には、列強の都合により、勝手に国境線が引かれました。
中東のシリア、ヨルダン、サウジアラビア、イラクなどの国境線がほぼ直線となっているのは、その周辺を植民地としていたイギリスとフランスが住民の意向とは無関係に、自己権益のために引いたからです。

このような行為をはじめとする中東諸国に対するヨーロッパ列強諸国の振る舞いが、現代にも尾を引き、イスラム国のようなヨーロッパ諸国を敵視する集団が出現する温床になっています。

■ローマ帝国やナポレオン帝国と帝国主義の違い

帝国主義というと、古代ローマ帝国やナポレオン帝国はどうなのかという疑問を抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。

そもそも帝国主義は、古代ローマ帝国による主として近隣国の他民族支配やナポレオンのような専制的な国家運営や好戦的な政策を意味していました。

ですので、もともとあった帝国主義という言葉が、19世紀半ば以降に変容し、ヨーロッパ列強諸国によるアフリカやアジアの国々を植民地化していった政策・行動を意味するようになったのです。

■帝国主義がヨーロッパ列強諸国国民に支持された背景

帝国主義が盛んになった時期とほぼ同じ時期に進化論を背景としたダーウィン主義がヨーロッパ全体に広がっていました。

ダーウィン主義の中の適者生存という理論が”アジア・アフリカ民族に対するヨーロッパ人種の優位性”と結びついたため、ヨーロッパ列強諸国国民は、帝国主義に反対するどころか熱狂的に支持したということです。

■帝国主義を批判的に分析していたレーニン

ヨーロッパ列強諸国国民が支持していた帝国主義を批判的に分析していたのが、後のロシア革命の指導者レーニンです。

1916年に「帝国主義論」をオーストリア・チューリッヒで発表しました。

「帝国主義論」の中でレーニンは、帝国主義の特徴として5つの指標を挙げました。
①生産と資本の集積が独占(体)をうみだすほどになっていること

②銀行資本と産業資本の融合により金融資本と金融寡頭制が成立していること、

③商品の輸出にかわって資本輸出が重要な意義を得ていること

④世界を分割する資本家の国際的独占体が形成され、世界の経済的分割が形成されつつあること

⑤資本主義列強による地球の領土的分割が完了していること。

上記5つの状態が生み出されている資本主義の発展の最高段階こそが帝国主義であると述べています。




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