愛がなんだ(角田光代著)を読んだ感想やあらすじ

書評

「八日目の蝉」、「紙の月」などで有名な直木賞作家の角田光代の恋愛小説「愛がなんだ」のあらすじや感想を紹介していきます。

この作品は2019年4月に実写映画化されました。

今泉力哉監督がメガホンを取り、主演は岸井ゆきの、共演に成田凌、深川麻衣、若葉竜也、江口のりこなど多彩な俳優が出演しています。

2018年の第31回東京国際映画祭・コンペティション部門に出品されて話題となり、10代後半から30代の女性やカップルの間で人気が出ました。



本の属性

角田光代著。株式会社KADOKAWAのダ・ヴィンチブックス(メディアファクトリー)より刊行。
出版日は2003年3月14日。
< h2>購入したきっかけ

「愛がなんだ」という珍しいタイトルに惹かれて映画を鑑賞しました。
もともと角田光代ファンであったため原作にも興味が湧き、映画鑑賞後に本作を購入するに至りました。

原作を読み終えてからも、映画のキャスティングに違和感を感じることはありませんでした。

特に成田凌さん演じる田中守がイメージどおりで、優しさと冷たさが同居したダメンズを上手く表現出来ていたと思います。

あらすじ

恋に振り回される主人公の20代山田テルコは、親友の葉子に誘われたパーティーで田中守、通称マモちゃんに出会います。
二人はその日のうちに意気投合し、その後も何度かデートを重ね、深い仲になっていきます。

順調に進んでいくかと思われた二人の関係ですが、テルコがどれだけ尽くしてもマモちゃんはテルコの恋人にはなってくれません。

やがて都合の良い女になってしまったテルコは、マモちゃんに煙たがられて連絡がとれなくなってしまいます。

その頃マモちゃんは年上の女性スミレさんと出会い、好意を寄せていました。

一方テルコの親友である葉子を思い続けていたナカハラくんもまた、テルコと同じように都合の良い男になってしまいます。

叶わぬ片思いに苦しむ彼、彼女らが行き着く選択とは何かを描いた作品です。



感想

主人公山田テルコの恋愛至上主義な言動を見ていると、遠い日の片思いに苦しんでいた自分をつい重ね合わせてしまいます。

恋をすると「好きであるもの」と「どうでもいいもの」に二分されるというテルコ。私にも、自分にとって大切なはずの仕事や友達が二の次になり、
疎かになってしまったことがありました。

“マモちゃんが風邪を引いて食事を買ってきて欲しいとテルコに連絡してきたとき、頼まれてもいないのにカビキラーを買って風呂場を掃除しゴミを分別して、
温野菜サラダと味噌煮込みうどんを作ったテルコがマモちゃんに泊めてもらえず追い出されてしまった”エピソードは、
好きな相手につい尽くしすぎてしまった過去の自分と重なるものがあり、見ていて胸が締め付けられました。

好きな人の自分に対する評価が重要視されるが故に、相手の顔色ばかり伺って自分を大切に出来ないテルコに思わず感情移入して見入ってしまいました。

好きな相手が機嫌を損ねた時、一体自分の何が悪かったのだろうと原因を探して続けてしまう経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

自分がテルコの友達ならなんて愚かで滑稽に見えることかと思いますが、恋をしている時の人間はなかなか自分を客観的に判断できないものです。

テルコは自分のことをどうでもいいと思っている人間を、好きになれるはずがない、と考えます。

この言葉が真理をついているようで印象深かったです。

確かに自分のことを大切に出来ない人間は、不思議と相手にも大切にされないものだと思います。

テルコの親友である葉子の言いなりになっているナカハラくん、スミレさんに片思いするマモちゃんも、
叶わぬ恋をしている時は誰しもがテルコに似た部分を持ち合わせてしまうのかもしれないと感じました。

上映後にSNS上で映画を「語る会」が話題になったそうですが、よくある恋愛映画ではないので、鑑賞者同士それぞれの恋愛観について語りたくなるのは納得です。

本の総合評価点数(100点満点)

85点
登場人物それぞれに感情移入出来る部分があることが高評価の理由です。




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