結論からですが、アメリカの民主党には党首はいません。
なぜ党首がいないのかその理由と背景について、民主党の組織や大統領選挙との関係からわかりやすく説明します。
■党首が居ないアメリカの民主党
アメリカの民主党には、過去から現在に至るまで民主党委員長、あるいは民主党総裁のような肩書きを持つ党首がいたことはありません。
民主党のオバマ前大統領は、大統領になる前はシカゴ選出の上院議員でした。
その前の民主党のクリントン大統領は、アーカンソー州知事から大統領になりました。
どちらも民主党の全国トップの人材だったわけではありません。
むしろ、民主党の中でも全国的には無名な存在でした。
このように民主党には党首に相当する人がいないうえに、民主党の全国組織の幹部のような人が大統領になるわけでもないのです。
■民主党で偉い人は?誰?
共和党のトランプ政権となった現在、党首でないにしても民主党で偉い人は誰なのか?という疑問を抱く方もいらっしゃると思いますが、現状は以下のようになります。
民主党で役職者としてトップに近い位置にいるのは、
民主党全国委員会委員長と上院議会院内総務と下院議会院内総務です。
★民主党全国委員会委員長
民主党全国委員会は、党の政策綱領作成、広報活動、政治資金調達・配分、選挙戦略の調整などを行い、4年ごとに党の大統領候補を指名する民主党全国大会を主催するのが主な役割。
従って、民主党全国委員会委員長は党のトップというより裏方的な存在に過ぎません。
実際、過去の民主党全国委員会委員長で大統領になった人は出ていません。
★上院議会院内総務(上院院内総務)
上院院内総務は、民主党選出の上院議員を束ねるリーダーで、民主党全体の指導者
というより上院議会における指導者に過ぎません。
ただ、上院院内総務には民主党でもそれなりの人物が就きますので党首ではないものの相当の影響力はあります。
★下院議会院内総務(下院院内総務)
下院院内総務は、民主党選出の下院議員を束ねるリーダーで、民主党全体の指導者
というより下院議会における指導者に過ぎません。
上院同様、下院院内総務は、民主党内に一定の影響力があります。
以上から、野党の民主党で偉い人というと上院院内総務と下院院内総務ということになります。
■民主党(アメリカ)に 党首がいない理由と背景
★組織が緩い民主党
民主党は、日本の自民党が県単位で県連のような組織を保持しているように
州単位で党独自の組織を運営しているわけではありません。
従って、そもそも地方組織を指導・管理する党首のような役割・役職は不要なのです。
★大統領制になじまない党首
イギリスのメイ首相が与党保守党の党首であり、ドイツのメルケル首相が与党キリスト教民主同盟党首であるのとは異なり、与党党首が大統領になるわけではないアメリカにとって、党首は必要性がないのです。
仮に党首格の民主党総裁という人がいたとして、別の人物が民主党選出の大統領になると権力の2重構造になってしまい、弊害が大きいのです。
★大統領が実質党のリーダー
現在のトランプ大統領も共和党の党首でも役職者でもありません。
ただ、共和党の大統領ということで、党首以上の権力、影響力を保持しています。
つまり、大統領が実質的な党首のような存在になることから、別の人物を党首として据える必要性はないのです。
■まとめ
①アメリカの民主党には過去から現在に至るまで党首はいません。
②党首ではないが、党の重鎮のような存在は、上院院内総務と下院院内総務。
③党首がいない理由は、その必要性がないことと大統領との2重権力構造になる恐れがあるからです。
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