韓国と北朝鮮が統一したらどうなるか?統一ドイツの事例を元にわかりやすく考察

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金正恩朝鮮労働党委員長と親北朝鮮の文在寅韓国大統領との首脳会談を機に、韓国と北朝鮮が統一するのではないかという見方が一部で出ています。

同一民族とはいえ、既に約70年も分断が固定されているうえ、北朝鮮の政治体制が政権に都合の悪い情報を遮断したうえで維持されていることもあり、現状では統一は難しいでしょう。



ただ、過去に北朝鮮から韓国に統一を提案したことがありました。

■北朝鮮側から提案した「高麗民主連邦共和国」創設案とは

実は、金日成時代の1980年に北朝鮮側から当時の全斗煥韓国大統領に対して、両国の統一を目的とした高麗民主連邦共和国」創設案が提案されたことがありました。

「高麗民主連邦共和国」創設案は、「自主・平和・民族大団結による統一」というスローガンのもと、一民族・一国家・二制度・二政府の下で連邦制による統一を主張したものでした。

創設案では、”一国家・二制度・二政府”を掲げており、北朝鮮の政治体制は維持された上での統一ということが根幹となっています。

要するに、自分たちの体制を保証してくれるのなら、韓国の体制も認めたうえで統一しても良いですよということです。

しかし、北朝鮮側は、統一の前提条件として韓国の反共法ともいえる国家保安法撤廃や韓国内における共産主義政党の結成の容認。

さらに在韓米軍の撤退などを求めていたため、韓国側は、検討すらしないままに終わりました。



■金正恩と朝鮮半島の統一

金正恩は、現段階では統一案は提案していませんが、不倶戴天の敵ともいえたトランプ大統領との直接対話に乗り出した最大の目的も”体制保証”にあったことから考えると、

統一といっても企業でいえば、北朝鮮事業会社と韓国事業会社の社長と経営スタイルはそのままに、事業会社を管理する持ち株会社は、共同で運営するというようなことが限度ではないかと思います。

金正恩をはじめとする北朝鮮政権が危惧することは、ドイツのように経済規模も人口も遥かに大きかった旧西ドイツが共産主義国であった旧東ドイツを吸収合併のような形で統一されることでしょう。

現状の経済規模では、韓国はほぼロシアと同程度のGDPがあるのに対し、北朝鮮は、日本の鳥取県レベルではないかと推測されています。

また、人口は約5000万の韓国に対して北朝鮮は約半分の2200万程度と推測されています。
ですので、もし金正恩が統一を提案するとすれば、”一国家・二制度・二政府”は絶対にゆずれないでしょう。



■西ドイツとの統一で消滅した東ドイツと北朝鮮

現在は、ドイツとなった旧東ドイツ(ドイツ民主共和国)と北朝鮮は同じ分断国家、同じ共産主義国家として兄弟国のように良好・親密な関係を結んでいました。

そのため、1990年に東ドイツが消滅されるまで、北朝鮮から多くの留学生や政権の幹部が東ドイツに訪れていました。

東ドイツでは、現在の北朝鮮のように秘密警察(シュタージ)が国民を監視して、反体制的な人物をたやすく政治犯として刑務所送りにしていました。

西ドイツと統一されたあとドイツになってから、東ドイツ時代にシュタージから著しい人権侵害を受けたとして、旧東ドイツ国民が次々と告発しました。

その結果、東ドイツ政権の関係者は、公職から追放されたり、前職からは考えられない職につくなど、悲惨な目に遭いました。

恐らく、北朝鮮は統一されたあとドイツで、東ドイツ政権関係者がどのような運命をたどったのかは正確に把握していると思います。

当時の東ドイツの国民監視体制をほぼそのまま導入した北朝鮮も統一の仕方によっては同じ運命にあう可能性が高いです。

だからこそ、悲惨な目に遭いたくない金正恩政権は、トランプ大統領にしても韓国に対しても”体制保証”は絶対に譲れないでしょう。

さらにいえば、北朝鮮を”自国の玄関口”と表する中国の意向です。

共産主義体制の中国の隣国である北朝鮮が統一を機に共産主義から離脱することは絶対に容認できないでしょう。
そもそも北朝鮮がアメリカの支配下になるのを阻止するために100万の大軍で朝鮮戦争に介入したのですから。

上記から、仮に韓国と北朝鮮が統一に乗り出したとしても”一国家・二制度・二政府”を目指すことになるのではないかと予測します。



■韓国からみた北朝鮮との統一のメリット・デメリット

韓国からみた場合、北朝鮮との統一で目に見えやすいメリットは軍事費を大幅に削減できることでしょう。

また、北朝鮮には韓国には乏しい、石炭・鉄鉱石等の資源が豊富にありますので、韓国からしてみれば、自分たちの経済に欠けているものを補完してくれるということも見込めます。

さらに、北朝鮮の国民は、韓国に比べ若年層が多く、日本以上に少子化が進む韓国の高齢化のスピードを緩める効果も期待できます。

以上のようなことが韓国からみた北朝鮮との統一のメリットになるでしょう。

一方、統一のデメリットは、コストです。

韓国政府はかつて、統一のコストをGDP100%相当と試算したように実際に統一となれば、莫大なコストがかかることは必至です。

実際統一ドイツも当初は”統一ドイツはよいことづくめ”といった受け止め方をされたことでドイツ企業の株価は軒並み上昇しましたが、統一に莫大なコストがかかることが判明すると、一転、株価が下落していきました。

もちろん、現在の韓国政府も統一ドイツの事例は念頭にあると思います。

韓国からしてみれば、莫大なコスト以上の経済的メリットが見込めない限り、統一には乗り出さないのではという見方が有力です。

また、以前、テレビ番組で韓国民に”北朝鮮との統一”についてインタビューしていく番組を観たときに、多数の人が”統一は難しい”として、反対はしないけど、もう無理ではないかというようなどこか醒めたスタンスでした。

実際に統一するためには、まず国民から”統一への熱望”が高まらない限り難しいようです。



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