将棋の8大タイトル戦の序列や永世称号の仕組みをアマ三段の強豪?が将棋を良く知らない人にもわかりやすく説明します。
プロの将棋には、タイトル戦とトーナメント方式で優勝者を決める棋戦があります。
トーナメント方式でもっとも有名なのは、毎週日曜日にNHKで放映されるNHK杯トーナメントです。
その他にはJT杯、朝日新聞杯があります。
タイトル戦には、竜王戦、名人戦、王位戦、王座戦、棋王戦、叡王戦、王将戦、棋聖戦があります。
この8つのタイトル戦を8大タイトル戦といいます。
このうち最も新しい棋戦は、叡王戦で、将棋史上初めて、新聞社。通信社以外のスポンサー(不二家)が主催しています。
タイトル戦の主催に新聞社が多い理由は、連載小説のように毎日、棋譜を載せることができるため、定期購読につながりやすいという背景があります。
以前、将棋を全く知らない人に”棋士は何で将棋を指すだけでお金をもらえるのか?”と尋ねられたことがありますが
将棋の棋士の収入は、下記のスポンサーからのタイトル戦ごとの契約料から対局料というようなかたちで得られる仕組みとなっています。
藤井5冠の登場で将棋タイトル戦に対する注目度がアップしたことで、特別協賛というかたちで支援する企業がここ数年、増えています。
王位戦と棋聖戦、棋王戦は、正式名称に特別協賛の会社の社名やキャッチコピーが冠されるようになりました。
実際、ヒューリック社は、棋聖戦の特別協賛をしてから、個人株主が急速に増えたそうです。
8大タイトル戦のスポンサー一覧
竜王戦
主催: 読売新聞
特別協賛:野村証券
名人戦
主催:朝日新聞 毎日新聞
特別協賛:大和証券グループ
お~いお茶杯王位戦
主催:北海道新聞 中日新聞 東京新聞 神戸新聞 徳島新聞 西日本新聞
特別協賛:伊藤園
王座戦
主催:日本経済新聞
特別協賛:東海東京証券
棋王戦コナミグループ杯
主催:共同通信社
特別協賛:コナミ
叡王戦
主催:不二家
特別協賛:ひふみ投信 SBI証券
ALSOK杯王将戦
主催:毎日新聞 スポーツニッポン
特別協賛:ALSOK
ヒューリック杯棋聖戦
主催:産経新聞
特別協賛:ヒューリック
2022年5月現在の8大タイトルの保持者は以下のとおりです。
8大タイトル戦保持者一覧
竜王 藤井聡太
名人 渡辺明
王位 藤井聡太
王座 永瀬拓矢
棋王 渡辺明
叡王 藤井聡太
王将 藤井聡太
棋聖 藤井聡太
2022年5月現在は、藤井聡太5冠(竜王、王位、叡王、王将、棋聖)、渡辺明名人・棋王、永瀬拓矢王座の3人でタイトルを分けあっています。
8大タイトル戦の序列については、タイトル保持者に対する賞金を含めた契約金によって決められています。
現在は、優勝賞金は4,400万円の竜王戦が最高金額ということでタイトルの序列が一位に位置づけられています。
叡王戦は、スポンサーが変わったことでそれまでの序列3位から6位となっています。
8大タイトル戦の序列
①竜王
②名人
③王位
④王座
⑤棋王
⑥叡王
⑦王将
⑧棋聖
竜王戦と現在のタイトル戦の序列の関係
そもそも現在のように賞金額でタイトルの序列が決められるようになったのは、竜王戦が誕生した時の経緯によります。
竜王戦は、それまでの十段戦というタイトル戦を発展させて1988年に新タイトル大型棋戦として誕生しました。
その際、主催の読売新聞から日本将棋連盟に対して、賞金額は必ず名人戦を上回るようにするから、その代わり、名人戦よりも序列を上にするようにとの
要望があったからです。
1987年までは名人戦が序列1位でした。
名人戦はその伝統と歴史の古さから不動の序列1位でしたが、竜王戦の登場により、現在の2位となっています。
ただ、将棋ファンの間では、その格式・歴史から名人戦が一番と考える火とが少なくありません。
もし、藤井竜王が名人位も獲得すれば、藤井竜王・名人ということになります。
過去に竜王と名人を同時に獲得した、谷川九段、羽生九段、豊島九段も竜王・名人とされていました。
8大タイトル戦の永世称号について
タイトルを通算もしくは連続で5期以上獲得、防衛した棋士は、引退後にタイトルに永世を冠する資格(永世称号)を得ます。
例えば永世棋聖、永世棋王といった称号です。
ただし、名人については〇〇世名人
永世称号を得られる条件は、下記のようにタイトル戦によって異なります。
羽生九段は、永世称号の規定がある7つのタイトルすべてで永世称号を獲得(永世七冠)しています。
叡王戦については、永世称号の規定がありません。
もし、叡王戦についても永世称号が規定されたら、前人未到の永世8冠を得る可能性が高いのは藤井5冠でしょう。
タイトル戦別 永世称号を得られる条件
竜王 永世竜王 連続5期か通算7期
名人 〇〇世名人 通算5期
※下記参照
王位 永世王位 連続5期か通算10期
王座 名誉王座 連続5期か通算10期
棋王 永世棋王 連続5期
叡王 規定なし ー
王将 永世王将 通算10期
棋聖 永世棋聖 通算5期
名人位の永世称号は、他のタイトル戦とは比較にならないほど古い歴史があり、
ますが十三世名人までは世襲制でした。
十三世名人までは、茶道のような家元制度に基づいて名人が決められていました。
初代の一世名人大橋宗桂は、1612~1634に在位しています。
十四世以降は、現在と同じように名人位通算5期獲得で永世名人の資格を得るようになりました。
歴代永世名人一覧(十四世以降)
十四世
名人
木村義雄
十五世
名人
大山康晴
十六世
名人
中原 誠
十七世
名人
谷川浩司
十八世
名人
森内俊之
十九世
名人
羽生善治
上記のうち、谷川九段、森内九段、羽生九段はいずれも現役棋士のため、永世名人を名乗っているのは存命では中原誠十六世
名人のみです。
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