将棋の永世とはどんな意味があるのか?名乗るための条件とは?わかりやすく説明

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2017年に羽生現九段が竜王位を獲得したことで、永世竜王位の称号を得たことで将棋界では前人未到の永世七冠が誕生しました。

将棋をあまり知らない人からは、”そもそも永世てどういう意味があるのか?”と尋ねられることが少なくありません。

そこで、将棋有段者で長年、プロ将棋をウォッチしている筆者がわかりやすく説明します。



将棋の永世とは?名乗るための条件とは?わかりやすく説明

将棋の永世とは、要するに”殿堂入り”あるいは”レジェンド認定”ということです。

具体的には、将棋界で獲得するのが難しいタイトルを連続5期防衛したり、通算7期獲得するという一定の条件をクリアした棋士に対して、その偉業を称え、永世名人、永世竜王と名乗れる資格を授与することを意味します。

ただし、永世は、それまでに累積された実績をメインに認定されるため、必ずしもその時点で最強というわけではありません。

永世という称号は元々は将棋界の数あるタイトルのうち、歴史が最も古い名人位が起源です。

その後、永世名人という称号を他のタイトルも見習い、それぞれのタイトルでも永世の称号が制定されました。

プロ野球でいえば、永久欠番、殿堂入りに等しい称号です。

永世を名乗るための条件とは

将棋界のタイトルで永世を名乗るための条件とその該当者は以下の通りです。
王座だけ永世ではなく、名誉王座を名乗ることになっています。

ただ、いずれのタイトルでも永世は、引退後に名乗ることになっています。

また、叡王のタイトルは、2018年に出来たばかりで永世を名乗る条件は決められていません。

・永世竜王 
条件  連続5期または通算7期
該当者 渡辺明 羽生善治

・永世名人
条件  通算5期
該当者 木村義雄 大山康晴 中原誠 谷川浩司 森内俊之 羽生善治

・永世王位
条件  連続5期または通算10期
該当者 大山康晴 中原誠  羽生善治

・永世棋王
条件  連続5期
該当者 渡辺明 羽生善治

・永世王将
条件  通算10期
該当者 大山康晴 羽生善治

・永世棋聖
条件  通算5期
該当者 大山康晴 中原誠 米長邦雄 羽生善治 佐藤康光

・名誉王座
条件  連続5期または通算10期
該当者 中原誠 羽生善治 

これら以外にタイトル戦に準じる棋戦のNHK杯トーナメントでは、通算10回優勝した羽生善治九段が史上初となる、名誉NHK杯選手権者となっています。



将棋界で永世の称号を得ることの困難さとは?

プロ将棋界には、現在、名人、竜王、王座、王位、王将、棋王、棋聖、叡王の8つのタイトルがあります。

叡王のタイトルは、2018年に出来たばかりですので、羽生九段は唯一叡王に関しては永世の称号を得ていません。

現実的にプロ棋士の多くは、一つのタイトルも獲得することもなく、引退することが通り相場です。

将棋界の最強の棋士が集う、A級順位戦に参加する棋士でさえ、タイトルを獲得できなかったり、獲得できても一つのタイトルを1期だけ、というようにタイトルを獲得したり、防衛することはトップ棋士でも容易ではないのです。

神武以来の天才といわれた、”ひふみん”こと加藤一二三九段でさえ永世の称号は一つも得られていませんので、永世の称号を得ることの困難さが理解できるのではないかと思います。

そのようなタイトルを連続5期あるいは、通算7期獲得となると並みの強さではないということで、タイトルの主催者が敬意を表し、該当の棋士に永世位を授与することになります。

まとめ

・将棋の永世とは、要するに”殿堂入り”あるいは”レジェンド認定”という意味で、具体的には、将棋界のタイトル、名人、竜王等で5期連続防衛等、所定の成績を収めた棋士に対して、永世名人、永世竜王等、引退後に名乗らせることを認める制度です。
現在、羽生善治九段が前人未到の永世七冠を達成しています。

・現在、将棋界には、2017年に創設された叡王を含め8つのタイトルがあります。

将来、羽生永世七冠を超える記録は、永世8冠ということになります。

永世8冠が実現する可能性があるとすれば、現在、棋王・王将・棋聖の渡辺明3冠、豊島将之竜王・名人あたりか、世代的には最も若く、これから先、タイトルを獲得するチャンスが何度もある藤井聡太七段あたりになるでしょう。



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