RCEP(アールセップ)とは?施行日・TPPとの違いや問題点を分かりやすく解説

おそらく一度は聞いたことがあるであろうRCEP。

世界に数ある国々の経済同盟のようなものの1つですが、
その詳しい内容は意外と理解しきれていない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回はRCEP(アールセップ)とはどのようなものなのか、TPPとの違いについて解説していきます。



RCEPとは?定義や仕組み

 RCEPとは「東アジア地域包括的経済連携」の英語の頭文字をとったもので、
日本や中国、オーストラリアなど合わせて15か国が署名している経済同盟の1つです。

RCEPの経緯

地域的な包括的経済連携(RCEP)協定は、2012年11月に交渉を開始し、2020年11月15日に署名されました。

その後、2021年11月2日に協定の発効要件が満たされ、
寄託を終えた日本、オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、中国、ラオス、ニュージーランド、シンガポール、タイ、ベトナムの10か国について、
2022年1月1日に発効する予定

RCEPの概要・目的

世界のGDP、貿易総額及び人口の約3割、我が国の貿易総額
のうち約5割を占める地域の経済連携協定。

地域の貿易・投資の促進及びサプライチェーンの効率化に向けて、市場アクセスを改善し、
発展段階や制度の異なる多様な国々の間で知的財産、電子商取引等の幅広い分野のルールを整備。

対 象 分 野

物品の貿易/原産地規則/税関手続及び貿易円滑化/衛生植物検疫措置/任意規格、強制規格
及び適合性評価手続/貿易上の救済/サービスの貿易/自然人の一時的な移動/投資/知的財
産/電子商取引/競争/中小企業/経済協力及び技術協力/政府調達/紛争解決 等

このRCEPは、世界のGDPのおよそ3分の1を占める経済圏になるということで大きな注目を集めました。

RCEPでは、日本の貿易総額のおよそ半分を占める経済圏であるということから、
日本にとってはそれなりの重要性を持つ国々との経済同盟であるといえるものです。

また、日本にとっては中国と韓国と初めて結んだ経済連携協定ともなりました。

最近、特にアメリカなどいくつかの国と対立が深刻になっている中国は、RCEPを機にアジアでの孤立をこれ以上深めたくないということとともに、アジア圏で経済的に影響力をもちたいという思惑があると考えられます。




それではここからは、具体的にどのような内容になっているのか解説していきます。

RCEPで最終的に取り決められたことをあげると以下のようになります。

RCEPの目的・機能

・物品の貿易
・原産地規則
・税関手続き及び貿易円滑化
・サービスの貿易
・自然人の一時的移動
・投資
・知的財産
・電子商取引
・経済協力及び技術協力
・紛争解決など

RCEPの加盟国は上記について、お互いに協力、場合によっては従う必要があります。
 
RCEPについて、日本の視点から見ると、まず工業製品に関しては全体で約92%の品目の関税が撤廃されることになりました。

また、農林水産品目に関しても、日本の輸出関心品目の中国などの関税が撤廃されることになりました。

そのほかで言うと、原産地規則というものが初見だとよくわかりにくい内容かと思われるので補足すると、
原産地規則とは物品の原産地がどこなのかを決めるためのルールのことです。

そして今回のRCEPでは、このことについて他の締約国の原産材料を自国の原産材料とみなすことができるということなどが規定されました。

これらのことから見ると、RCEPは署名した国々での経済的な壁がなくなったと考えることができるでしょう。

RCEP参加国一覧

 日本 中国 オーストラリア ニュージーランド 韓国 ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア 
ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム

※TPP参加国
、日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、 カナダ、豪州、ベトナム、ペルー ブルネイ、チリ、マレーシア

RCEP施行日

RCEPの話し合いが始められたのは2012年11月で、署名されたのが2020年11月に署名されました。

そして、施行日は2022年1月1日となっています。



RCEPとTPPの違い

RCEPとTPPはどちらも日本などアジア諸国を中心に構成されていますが、この両者にはもちろん違いがあります。

まず一つ目は、RCEPがアジア諸国がほとんどなのに対し、TPPはメキシコやカナダなどの北アメリカの国々も加盟しているという点です。
この参加国の違いがRCEPとTPPの最大の違いとなっています。

また、TPPは、中国に対抗するという目的があるのに対し、RCEPでは中国が中核メンバーとなっていることも違いといえます。

アメリカはトランプ大統領がTPPから脱退してしまったため、現在も参加していません。

また、下記のようにGDPや人口をTPPと比較するとRCEPの方が明らかに上回っています。

人口が多いのはやはり中国が加盟しているところが大きいといえるでしょう。

※RCEPとTPPの経済規模
・RCEP
人口:約22.7億人、GDP:約25.8兆ドル、
貿易総額(輸出):約5.5兆ドルの経済圏
出典:世界銀行(2019年)

・TPP
人口約5.1億人、GDP約11.2兆ドル、
貿易総額(輸出)約2.9兆ドルの経済圏

出典:外務省

RCEPの問題点

どのようなものでもそうですが、このRCEPにも問題点やデメリットがあります。

まず一つ大きいものとしては、関税を撤廃するために海外から日本に安い製品がどんどん流入することによって、日本の産業に影響が出る可能性がある点です。

一部農業製品などには関税を依然としてかけているので問題はないですが、
今後どんどん関税がかからない製品が増えるにつれて日本の産業が衰退してしまう可能性が懸念されています。

世界最大の経済大国のアメリカと人口大国で経済成長が著しいインドが加盟していないことがウイークポイントとなっています。
このアメリカとインドが加盟していないことについてはTPPと同じ状況です。

ただ、TPPと異なり中国が加盟しているため、その政治力・経済的影響力が悪い方に作用するリスクもあります。

また、近年領土拡大をもくろむ中国の影響が大きいため、日本としては中国との対応の仕方にも今後よく考える必要に迫られると考えられます。

まとめ

RCEPとTPPの違いについて、
①RCEPは、東アジア地域包括的経済連携ということで中国、韓国、インドネシア、ベトナム、フィリピン等のアジア諸国のみの
加盟となっているのに対し、TPPは、アジア諸国だけでなくメキシコ、カナダ、チリが加盟しているように地域的な広がりがあることが
違いとなっています。

②TPPは、アメリカを中心とした加盟国で中国に対抗することが目的とされてきたのに対し、RCEPでは中国は中核メンバー国となっている
ことも違いといえます。

今回は2022年から施行されるRCEPについて解説してきました。

日本は国内のことも大事ですが、中国とアメリカの間にある国である以上外交もとても重要ですので、今後も注意深く見ていく必要があります。 最後まで読んでいただきありがとうございました。




コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました