硬式テニスとソフトテニス(軟式テニス)の違い@ラケット・ボール・ルールから競技人口まで

硬式テニスとソフトテニス(軟式テニス)の違いを使用するボール、ラケット、コート
ルール、試合方法、前衛・後衛、バックハンドの打ち方、オリンピック種目等の観点からわかりやすくお伝えします。


■使用するボールの違い

軟式と硬式という区分は、使用するボールの材質の違いが由来です。
文字通り、軟らかいボールを使用するのがソフトテニス(軟式テニス)、硬いボールを使用するのが硬式テニスです。

★ソフトテニス(軟式テニス)

ソフトテニスで使用するボールは空気の入ったゴムボールを使用。
直径6.6cm、重さは30gor31g。色は原則白色。

★硬式テニス

硬式テニスで使用するゴム製のコアボールをフエルトで包んだ黄色いボール。

直径6.54~6.86cm、重さ56.7~58.5g、高さ254cmの高さから落下させた時に134.62~147.32cmバウンドするものなどの規格が定められています。

■使用するコートの違い

硬式テニスとソフトテニスで、使用するコートの大きさはまったく同じで違うのはネットの高さで具体的には下記の通りです。

★硬式テニスで使用するコート

ネットポストが1.06~1.07mに対しセンター部分が0.914mと少し低くなっています。

★ソフトテニスで使用するコート

中央部もコート面と水平にするため、ネットポストと同じ1.06~1.07m。


■使用するラケットの違い

硬式テニスとソフトテニスでは、使用するボールが全く異なるため、ラケットの構造や大きさ等も異なります。

ラケットの主要部分は、ボールを打つガット、ガットを治めるフレーム、そして面の大きさとなります。

この3つについて硬式とソフトの違いは以下の通りです。

★ガットの違い

硬式テニス=固い(強度=40から65)

ソフトテニス=柔らかい(強度=18から35)

★フレームの違い

硬式テニスのほうがボールから受けるインパクトが強いため、頑丈に作られています。

★面の大きさの違い

硬式のラケットのほうがやや大きい程度でそんなに違いはありません。

ただ、ソフトテニスでは、球を打つとき、硬式と異なり、フォアハンドストロークもバックハンドストロークも同じ面で打つため、面に裏表があることが最大の違いです。

※ソフトテニスのバックハンドストローク

※硬式テニスのバックハンドストローク

■ルールの違い

★ソフトテニス

①試合方法
試合は、7ゲームマッチ(4ゲーム先取)か9ゲームマッチ(5ゲーム先取)で行われます。
4ポイント先取で1ゲーム獲得。
※ファイナルゲームだけは7ポイント先取

②カウント方法
カウント方法は、
0(ゼロ)、1(ワン)、2(ツー)、3(スリー)とわかりにくいとされている硬式テニスよりシンプルでわかりやすいことが特長です。

③ダブルスにおける前衛と後衛
ソフトテニスでは、ダブルス試合では、前衛と後衛を固定してゲームを進めます。

★硬式テニス

①試合方法
4ポイント先取で1ゲーム獲得は、ソフトテニスと同じ。

公式試合では、1セット6ゲーム先取で行われ、2セット先取(女子プロテニスの試合等)と3セット先取(男子プロテニスの4大大会の試合等)の2種類あります。

②カウント方法 
カウント方法は、
0点=ラヴ、1点=15(フィフティーン)、2点=30(サーティ)、3点=40(フォーティ)とカウントします。

先に4点目をとったほうが勝ちとなります。

どちらも3点をとった場合は、デュースといい、その後2ポイント連続で取った方が勝ちになります。

※3点目をなぜ45(フォーティファイブ)といわないかについては、単に言いにくいからという理由が有力です。

③ダブルスにおける前衛と後衛
硬式テニスでは、ダブルス試合では、前衛と後衛をペアで交互に交代してゲームを進めます。


■ダブルスとシングルスの歴史の違い

★ソフトテニス

ソフトテニスは当初、ダブルスのみで行われてきましたが、1993年からシングルスが正式に種目に加わり、現在に至っています。

★硬式テニス

硬式テニスでは、古くからダブルスとシングルスは別の競技として行われています。

ウインブルドン、全米オープン、全仏オープン、全豪オープンの4大大会でもダブルスは行われています。

■世界的な国際大会の違い

★ソフトテニス

ソフトテニスは硬式テニスとは異なり、オリンピック競技の正式種目ではありません。

ソフトテニスの国際大会としては、アジア版のオリンピックのアジア大会、世界選手権、アジア選手権大会、東アジア競技会が4大大会として位置づけられています。

ソフトテニスは、硬式テニスと異なりプロ選手が存在しないため、世界選手権の優勝者がソフトテニス世界一ということになります。

国際ソフトテニス連盟の加盟国は43ヶ国となっています。

★硬式テニス

硬式テニスは、1988年のソウルオリンピックで公開競技として実施されて以降、1992年のバルセロナオリンピックから正式種目となり現在に至っています。

オリンピックにはトッププロも出場しており、これまでメダルは全てプロ選手が獲得しています。

世界選手権に相当するものとしては、ワールドユースカップ(16歳以下国別対抗戦)、ワールドジュニアテニス(14歳以下国別対抗戦)があります。

しかし、年齢制限なしの世界選手権はありません。

硬式テニスは、プロが最強という位置づけとなっていて、アマのテニス世界一を決めるような大会が存在しないことがソフトテニスとの違いです。

従って、硬式テニスにおいて、テニス世界一といえる存在は、プロテニスの4大大会と称される全英オープン(ウィンブルドン)、全米オープン、全仏オープン、全豪オープンの優勝者ということになります。

また、プロ硬式テニスでは、デビスカップ(男子)、フェドカップ(女子)という国別の団体対抗戦が毎年、行われています。


■競技人口の違い

★競技人口

「平成29年度テニス環境等実態調査」によれば、日本国内の硬式テニスの競技人口は439万人とされています。

ソフトテニスは約50万人と推定されています。

★日本の高校生における競技人口

平成29年度(公財)全国高等学校体育連盟 加盟・登録状況によれば、
全国の高校生のソフトテニスの競技人口は、
男子が2,645校 49,115人、女子が 2,782校、 35,539人となっています。

全国の高校生の硬式テニスの競技人口は、
男子がが2,899校 64,905人、女子が2,648校、 36,955人となっています。

高校生の女子については、ソフトテニスと硬式テニスの競技人口はほぼ同レベルとなっているのに対し、男子は硬式テニスの競技人口が約1万5000人多くなっています。

■成り立ちの違い

軟式テニス(ソフトテニス)は明治13年頃にイギリスから伝わった「ローンテニス」(硬式テニス)が起源。
その後、明治17年に日本独自のゴムボールを使用し、独自のルールに基づく軟式テニスが誕生。

1956年にアジア大会を初めて開催、以降、韓国等の東アジアの国を中心に普及していきました。

軟式テニスの国際化を図るため、100年以上続いた名称「軟式テニス」から1992年に「ソフトテニス」に改称し、現在に至っています。

つまり、当初、テニスといえば硬式テニスしかありませんでしたが、使用するボールを改良する等、日本で独自に発展して誕生したのが軟式テニス(ソフトテニス)です。

軟式テニス(ソフトテニス)は、硬式テニスから生まれた競技という点が特徴です。

■まとめ

上記から、硬式テニスとソフトテニスの違いは、国際的な視点からすると硬式テニスがオリンピック種目でさらに世界的なプロ選手もいるのに対し、ソフトテニスは競技人口が日本を含むアジアに多く、オリンピック種目でもなくプロ選手もいないということになります。

筆者は硬式テニスをしますが、ソフトテニス経験者はすぐに見破ることができます。上述したようにバックハンドストロークの打ち方が根本的に違うからで、硬式でもソフト特有の打ち方をしようとするからです。

また、テニスを日常的にする者からすれば、硬式テニスには巷にテニススクールが沢山あるのにソフトテニスにはないということが違いとして気になることです。

競技としてみるとソフトテニスはバトミントンと同様にアジアに強国が多く存在します。
ソフトテニスが世界的に普及して、オリンピック種目となり日本選手が金メダルを獲得する日が来ることを願って止みません。


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