ローマ法王とは何者か?教皇との違いや2019年来日日程について

ローマ法王という言葉、新聞やテレビで耳にすることも多いと思います。
でも、ローマ法王て何者か?と改めて問われると正確に答えられる人は少ないでしょう。
そこで、そもそもローマ法王とは何者か?、ローマ教皇とバチカンとどんな関係があるのか等についてわかりやすく説明します。


■ローマ法王とは何者か?

経験からですが、ローマ法王とは何者か?と問われたときに以下の2つを回答するだけでも大抵の質問者は頷いてくれます。

場合によっては、あなたは”○○さんて博識!”と尊敬の眼差しでみられるかもしれません!?

ですので?少なくとも以下の2つはしっかりと頭に入れておいてください。

①ローマ法王は、キリスト教のカトリック教会のトップ

ローマ法王は世界に約12億人いるといわれるキリスト教のローマカトリック教会のトップ。要するに一番偉い人。

会社でいえば、社長といった存在です。

なにしろ日本の人口の約10倍の信者のトップなのですから、それだけでその偉さが理解できると思います。

※カトリックとは、「普遍の、全世界の」という意味で、全世界におよそ12億人の信者がいます。

※同じキリスト教でもプロテスタント派は、ローマ法王のような聖職者の権威そのものに異議を唱えてカトリックから分裂したという歴史から、直接的な関係性・影響力はありません。

②バチカン市国の国家元首も兼務

ローマ法王は、世界で一番小さい国のバチカン市国の国家元首もかねています。

※バチカン市国について
国土面積0・44平方キロメートルと世界最小の国家。
イタリアローマ市内の一角にあり、1929年にイタリアと結んだラテラノ条約で誕生。
市国外にも直轄地を持ち、人口は約800人で大半が聖職者か衛兵。
国連には加盟していません。



ローマ法王についてもっと詳しく知りたいとなると、かの有名なイエス・キリストの時代にまでさかのぼることになります。

★ローマ法王とは何者か?もっと詳しく知りたい人のために

▼法王は、「イエス・キリストの代理者」

ローマ法王は、キリスト教において神と崇められているイエス・キリストが十字架上で亡くなったあとの「イエス・キリストの代理者」と位置づけられています。

「キリストの代理者」という称号が初めて歴史上にあらわれるのは、今から約1500年ほど前の495年。

当時のローマの司教会議においてローマ法王ゲラシウス1世を指して用いられたものがもっとも初期の例とされています。

つまり、ローマ法王は、キリスト教でいうところのイエス・キリストが帰天した後の地上におけるイエス・キリストの代理人として、世界中のキリスト教のカトリック教会の信者に説教をする役割を担っているのです。

信者からすれば、ローマ法王は、”神であるイエスキリストの代理人”なのですから、12億人もの世界中の信者が法王が何を言ったのかその一言一句も聞き逃すまいという態度になります。

だからこそ、ローマ法王の言動やその動静が世界的なニュースとなるのです。

日本はキリスト教国でなく、またキリスト教信者も人口の約1%と少ないため、”なぜローマ法王のことが新聞やテレビで大きく取り上げられるのか”がピンと来ない人が多いのが実情です。

▼法王の権威とは?

ローマ法王はカトリック教会全体の首長という宗教的な地位だけでなく、イタリアのローマ市内にある世界最小の独立国家バチカンの首長という国家元首の地位も担っています。
ローマ法王は、カトリック教会の長(聖座)としての宗教上の権威と、バチカン市国の国家元首として国際法上の権威の両方を保持している世界的にも唯一無二の存在です。

つまり、キリスト教カトリック教会の信者からは、聖座として崇められ、国際的には国家元首としての権威を併せ持っているのです。

▼なぜローマなのか

キリスト教は世界中に信者がいるのになぜローマの法王が一番偉いのかと思う人もいらっしゃるかもしれません。

それは、ローマがキリスト教の聖地であるからです。

イエス・キリストの使徒の一人であったペトロは、キリストから使徒の頭に選ばれ、全教会の世話を託されました。

こうした経緯から、ペトロを初代のローマ法王と看做す見方がカトリックでは有力です。
その後、ペトロは、ローマの地で悪名高い暴君ネロにより、迫害されて殉教します。

この歴史的経緯からローマはキリスト教の聖地とされています。

ペトロが殉教した地ローマの教会の司教は、ペトロの後継者として全世界に広がるカトリック教会の司教団の筆頭としてローマ法王と呼ばれるようになり、現在に至っています。



ところで、新聞やテレビを見ているとローマ教皇という表記を目にすることがあると思います。
中にはローマ法王とローマ教皇は同じなのか?別のものなのか分からずすっきりしないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、ローマ法王とローマ教皇の違いについてわかりやすく説明します。
実は当初、日本のカトリック教会でもどちらが良いのか混乱していたことがあるのです。

■ローマ法王とローマ教皇の違いとは?

①法王と教皇の違いとは?

ローマ法王に関するニュースをみているとローマ法王ではなくローマ教皇として表記されている場合も見受けられます。

ですので、ローマ法王とローマ教皇て同じなのか?違うのか?と戸惑う人も少なくないと思います。

結論からいいますと、ローマ法王とローマ教皇は同じものです。
ただ、カトリックの教会では、ローマ教皇と表記しています。

ローマ法王とローマ教皇については、実はかつて、日本のカトリック教会の中でも混用されていました。

しかし、日本の司祭団は、1981年2月のヨハネ・パウロ2世の来日を機会に、「ローマ教皇」に統一、現在に至っています。

ローマ教皇としたのは、「教える」という字のほうが、教皇の職務をよく表わすからとされています。

②外交的にはローマ法王と表記する理由とは?

東京都千代田区三番町にある駐日バチカン大使館は「ローマ法王庁大使館」と表記されます。

これは、日本とバチカン(ローマ法王庁、つまりローマ教皇庁)が外交関係を樹立した当時の日本語の定訳は「法王」だったため、ローマ教皇庁がその名称で日本政府に申請。

そのまま「法王庁大使館」になりました。

日本政府に一度登録した国名は、実際に政変が起きて国名が変わるなどしない限り、変更できないという決まりごとがあります。

そのような理由から、外務省をはじめ政府は「法王」を公式の呼称として用い、マスコミ各社もこれに従っているのが実情です。

以上から日本のカトリック教会としては、出来ればローマ教皇と呼んで欲しいのですが、外交上の問題から、公式にはローマ法王と表記されているのです。



キリスト教関係の歴史について学ぼうとするときに、非信者にとってネックになるのが
司祭、神父、司教といった言葉の意味するところがよくわからないことにあります。

そこで、こうしたキリスト教専門用語についてわかりやすく説明します。

■司祭とは神父との関係は?司教との違いは?

カトリック教には、独特の宗教用語が出てきますが、信者以外では、”司祭とは?どんな人なのかわからない”という人が多いようです。

イエス・キリストによって始められた教会は、世界各地に広がり、カトリック教会は、現在、約12億の信者を擁する共同体にまで発展しています。

このカトリック教会の使命のために、生涯的に奉仕する者が「司祭(しさい)」です。
「神父(しんぷ)」とも呼ばれています。

つまり、司祭=神父ということです。

そして司教とは、イエスの十二使徒の後継者のことを意味していて、、任された地域(教区)のすべての教会活動に責任を負っています。

司教は、会社組織でいえば、カトリック教会の重役ということになります。

ローマ法王が亡くなったり、自発的に辞任を申し出ると新しいローマ法王を選ぶ必要
があります。

なにしろ、キリスト教徒12億人のトップを決めるのですから、部外者からすると、それこそ神の声によって決めるのでは?と思う人もいるようです。

そこで、ローマ法王の決め方についてか簡単に説明します。

■法王の決め方と任期

①法王の決め方

ローマ法王は、コンクラーベと呼ばれる枢機卿会の選挙によって選ばれます。
選挙権をもつのは、80歳未満の枢機卿※です。

コンクラーベは、規定の有効得票数(投票総数の3分の2以上)を得る人が出るまで繰り返されます。

現行の教会法では80歳未満の枢機卿から選出されることになっています。

有効得票数を得た人は、その選出を受諾した瞬間から法王の権限をもつことになります。
法王はまず、ローマの司教ですので、選出時に司教でない場合には、就任に先立って司教に叙階されます。

※枢機卿
枢機卿(すうききょう)は、カトリック教会における教皇の最高顧問。
重要な案件について教皇を直接に補佐する「枢機卿団」を構成すると同時に、個々の枢機卿は、教会全体にかかわる日常的な職務について教皇を助ける役割を担います。

政治用語でいえば、大統領補佐官のような存在で、要するにローマ法王の側近です。

前田 万葉大司教が日本人として6人目となる枢機卿に2018年に任命され、現在に至っています

②法王の任期

ローマ法王職は原則終身です。

しかし、自発的に辞任することができます。

辞任が自由に発意され、正しく表現されていれば有効であり、だれからも受理される必要はありません。



ローマ法王というとパウロ1世というように○○世と呼ばれることが多いので
人によっては、ローマ法王は世襲制かと思う人も居るようです。

結論からですが、世襲制ではありません。

以下のような習慣からローマ法王に就任すると”パウロ○○世”というような名前になるのです。

■法王はなんでパウロ○○世と名乗るのか?

ローマ法王に選出された人は、それを受諾すると、すぐローマ法王用の名前を決めます。
これは11世紀頃からの習慣で、それ以前は、自分の名前をそのまま使っていました。

しかし、中にはその名前がローマ法王に相応しくないという理由で改名するケースが出てきたのです。

最初に名前を変えたのは、533年から538年まで教皇であったヨハネ2世(56代)です。改名まで教皇はメルクリオと呼ばれていました。

メルクリオは、古代ローマの異教の神の名前でした。

また、955年から964年にかけての法王ヨハネ12世(130代)は、選ばれた時、オッタビアーノという名前でしたが、これはローマの有名な皇帝の名前なので、法王にふさわしくないということで、改名しています。

この他、ペトロという名前の人が法王に選ばれた時、初代法王の名前を持つのはもったいないとして、名前を変えた例もあります。

1人は983年から984年に法王だったヨハネ14世(136代)。

もう1人は1009年から1012年のセルジオ4世(142代)。

この頃から、法王名をとる習慣が定着、現在に至っています。

また、新しい法王がすでに法王名として使われている同じ名前を名乗る時は、2世、3世……と順位を付け、2世が登場したとき、最初にその名前を使用した教皇に「1世」をつけることになっています。

ちなみに現在のローマ法王は、フランシスコと呼ばれています。
これは、これまでフランシスコと名乗った法王がいないからです。

もし、この後にフランシスコと名乗る法王がでた場合、現在のフランシスコがフランシスコ1世となり、新しいフランシスコがフランシスコ2世となるのです。



現在のローマ法王のフランシスコは、史上初のアルゼンチン出身のローマ法王です。

■法王フランシスコとはどんな人?

・ローマ法王名
266代教皇フランシスコ(ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ)

・就任日
2013年3月13日~現在、

・生年月日
1936年12月17日、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。

・経歴
イエズス会出身。
アルゼンチンで同会の管区長、神学院長などを務めた後、ブエノスアイレス大司教に。
そこから教皇に選出。イエズス会出身、またラテンアメリカ出身の初の教皇。」

1997年6月3日ブエノスアイレス協働大司教に任命、1998年2月28日アントニオス・クアラチノ枢機卿の後を継いでブエノスアイレス大司教。

2005年11月-2011年11月アルゼンチン司教協議会会長。

2001年2月21日ヨハネ・パウロ二世により枢機卿に叙任。

2013年3月13日、第266代教皇に選出され、フランシスコを名乗り、現在に至ります。

ローマ法王フランシスコは、2019年11月に日本を訪問すると明言しました。

■ローマ法王フランシスコ2019年来日日程について

・フランスのAFP通信は、ローマ法王フランシスコは2019年1月23日、年末に予定されている日本への訪問について、「11月に日本を訪問する」と明言した。と報じました。

・ローマ法王の来日は1981年のヨハネ・パウロ2世以来で、法王は2018年12月、今年の年末にも広島、長崎を訪問する意向を表明しており、バチカンと日本の両政府が11月の訪日で調整を進めていることが伝えられていました。

法王自身が明言したことで、2019年11月に来日。
広島と長崎を訪問することは確実になったようです。

可能であれば、東日本大震災の被災地への訪問も希望していると伝えられています。

広島と長崎は被爆地として、また長崎は歴史的にキリスト教の多くの殉教者がおり、訪問地に選ばれることになったようです。

前回の1981年のローマ法王訪日時に”戦争は人間の仕業です”とスピーチしたことで日本国民にインパクトを与えましたが、今回の訪問でどんな発言・行動をするのか日本国民はもちろん、カトリック教徒12億人からも注目を集めそうです。

■まとめ

ローマ法王とは何者か?教皇との違いや2019年来日日程についてまとめると以下のようになります。
①ローマ法王とは信者約12億人のキリスト教のカトリック教会のトップ。

②ローマ法王は、世界最小の国家バチカン市国の国家元首でもある。

③ローマ法王は、カトリック教信者から、”イエス・キリストの代理人”として崇められています。

④ローマ法王とローマ教皇は、同じ意味。前者は外交規約による呼称。
後者は、カトリック教会での呼称。
どちらをつかっても誤りというわけではありません。

⑤現ローマ法王フランシスコは、2019年11月に広島・長崎を訪問することがほぼ確定しています。


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