「コスメティック」(林真理子著)を読んだ感想・あらすじ

書評

林真理子さんの代表作「コスメティック」を読んだ感想・あらすじを紹介します。



本の属性

 
「コスメティック」(小学館1999年)

購入動機

 
 「ルンルンを買っておうちに帰ろう」でベストセラー作家となった林真理子さん。

よく私の母が「やっぱり林真理子なのよね!女を書かせたら天下一品!!!」と言っていたので、すごい作家さんなのだろうなぁと刷り込まれて生きてきました。

初めて読んだ彼女の作品は「野心のすすめ」でした。(今考えると、入門編としては刺激が強すぎたような・・・)

直球な言葉の数々に圧倒され一気に彼女の虜に。

たくさんの作品を読んできましたが、長編作品を敬遠してきたせいで読み漏れていた「コスメティック」。ついに購入です!

あらすじ

 
 主人公の沙美は、激しいPR戦争が繰り広げられる化粧品業界で働くキャリア女性です。

バブル後のキャリア女性を取り巻く現実に、翻弄される沙美。

しかし向上心の塊のような彼女はそんな状況でも「仕事も恋愛も100%幸福になって見せる」と野心満々。

嫉妬、裏切り、不倫・・・誰もが羨む華々しい世界でめくるめくバトルが繰り広げられます。



感想

 
 これぞ林真理子!女を煮詰めて凝縮させたようなエグみたっぷりでございます。

文章の端々に皮肉がたっぷり含まれており、少々胃もたれしそうなくらいです。

長編作品を敬遠していましたが、あっという間に読み終えてしまいました。

90年代の作品なので随所にバブルは感じられますが、いつの時代の女性も楽しめる作品だと思います。

なんといっても化粧品業界が舞台という点が女子の心をかなりあげてくれます。

とても綿密に取材をされたそうなので(当時は化粧品業界の暴露本だと話題になったそうです。)本当にその世界に自分も飛び込んだかのごとく華やかさが伝わってきます。

だがしかし裏で繰り広げられる女の闘いは妬み嫉みの嵐です。

コスメ雑誌の掲載ページを巡った争いなんかは特に怖かった。

外国人モデルを起用したはずなのに出来上がってみたら日本人モデル。

沙美は「騙された・・・!」とすぐに編集長のもとに。ライバル企業たちからの足の引っ張り合いです。

実際もそんなことあるのだろうか・・・と今後美容雑誌の見方が変わりそうです。

そんな激しい業界で生き抜く彼女ですが、恋愛のほうも激しめ。

いろいろな節目でタイプの違う男性と恋愛に発展するのですが、まぁ登場する男たちのキャラクター設定も笑っちゃうほどわかりやすい。

仕事は出来るが超絶クズや、典型的な「仕事と俺とどっちが大事なの?」と言っちゃう奴など。

あーわかるわかる、沙美なら彼は選ばないよね。

でも結局その道を選ぶって女として正解なの!?

と、感情ジェットコースターです。

沙美本人も「本当に私は、いったいどんな風に生きていきたいんだろうか。」とつぶやいちゃってます。

でもこの感情って、30代独身女子なら思わずにはいられないですよね。そんな揺れ動く感情一つ一つにまで共感できるから面白いのです。

 働く女性のリアルな困難が物語の中でテンポ良く展開されていき、林真理子さんの世界観にどっぷり浸かれる最高の一冊でした。

 評価

 
【98点】
 林真理子さん特有の、女性の負の感情の描き方が最高でした。

ただ、林真理子さんご本人の好き嫌いが分かれるように(失礼)、野心たっぷりの女性を毛嫌いする人はきっとこの作品も嫌いでしょう。

私みたいな「なんだか明日からバリバリ働けそう!!新しいパンプスでも買ってさらに気分上げるか!」とか言っちゃいそうな単純を絵にかいたような人間には本当に楽しめます。

そういう女って共通して「プラダを着た悪魔」とか「東京女子図鑑」とかが好きなんですよね・・・私も漏れなくです。




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