ウクライナがNATOに加盟できない理由をワルシャワ条約機構との関係からわかりやすく説明

NATOとは?

①そもそもNATOとは?何
NATO(北大西洋条約機構)とは、北米と欧州の国々によって構成された軍事同盟であり、主にNATO加盟国の防衛を目的とした組織のことです。

②現在のNATOの加盟国一覧
現時点で、アメリカ合衆国、カナダ、アイスランド、イタリア、英国、オランダ、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク、ギリシャ、トルコ、ドイツ、スペイン、チェコ、ハンガリー、ポーランド、エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、以上計30か国によって構成されています。

③WTOが廃止されたのになぜNATOが存在しているのか

NATOに対抗する組織としてワルシャワ条約機構(WTO)というものがありました。
ソ連を中心とした東ヨーロッパ諸国で構成された軍事組織です。ソ連崩壊とともにWTOは廃止されましたが、その後もNATOは存続しています。

ソ連に対抗することを目的としていたNATOが存続し続けた理由としては、社会主義勢力への警戒を緩めるわけにはいかなかったことが挙げられます。

特にアメリカの意向が強く反映されており、WTO廃止後もNATOは勢力を東方へと拡大し続けました。

旧WTO加盟国を次々にNATOへと加盟させ、2008年4月には、ブカレスト首脳会合の場で、ウクライナとジョージアによるNATO加盟の意思が表明されました。

このNATOの東方拡大こそが、この度のロシアによるウクライナ侵攻の原因になったと言われています。

④WTOからNATOに転じた国一覧

WTO廃止後、ポーランド、チェコ、ハンガリー、エストニア、ラトビア、リトアニアの7カ国がNATOへと加盟しています。



ロシアとNATOの関係

①ロシアはNATOになぜ入れない?その理由・背景

この点、ロシアもヨーロッパの一つであり、NATOに加盟することはできないのか疑問に思われるかもしれません。

結論から申し上げますと、それは不可能だといえます。

そもそも、NATOとは旧ソ連に対抗するために設立された組織です。

旧ソ連が崩壊して、冷戦構造が終了したといえども、そのような背景からロシアがNATOに加盟することはまず無理でしょう。
また、ロシア自体、他の欧州諸国と比べて民主的基盤が薄弱な国でもあり、NATO加盟国がロシアの加入を賛成することはないと思われます。   

②ウクライナ戦争にNATOが介入しない理由・背景
NATOはウクライナ戦争に介入しないことを既に明言しています。

では、なぜ介入しようとしないのでしょうか。
まず、ウクライナはそもそもNATO加盟国ではありません。

NATOの加盟国ではない以上、NATOにウクライナを防衛する義務はないといえます。

もっとも、これは形式的な理由であり、本当の理由としてはNATO自体がロシアとの全面戦争を望んでいないからといえます。

仮にNATOがウクライナ戦争に介入したとすれば、それこそ全面戦争となり、第三次世界大戦へと発展してもおかしくはありません。
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ATOもロシアも共に核保有国であり、戦況が悪化して仮に核戦争ともなれば、それこそ悲惨な結末になってしまいます。
これ以上戦線を拡大させないため、これがNATOがウクライナ戦争に参入しない実質的な理由と言えます。



ウクライナがNATOに加盟するメリット・デメリット

ウクライナがNATOに加盟することができれば、NATOのウクライナに対する防衛義務が生まれるため、ウクライナ側から見たら、メリットの方が大きいといえるでしょう。
しかし、ウクライナのNATO加盟にはかなりのリスクを伴います。

冷戦終了後もNATOは加盟国を増やし、組織を東方へと拡大させて来ました。

当然、ロシアもこの動きには警戒感を強めており、特に隣国であるウクライナのNATO加盟には強烈な不満を示しています。
ウクライナのNATO加盟は、必然的に欧州とロシアとの関係悪化を招くものであり、ロシアとの関係悪化を望まない欧州としては、メリットよりデメリットの方が大きいと言えるのです。

 

ウクライナがNATOに加盟にできない理由・背景

ウクライナはこれまでも、NATO加盟の意思を度々示してきました。

しかし、前述したように欧州にとっては、ウクライナのNATO加盟は必然的にロシアとの関係悪化を招きます。
特にドイツ、フランスは慎重な立場を崩してはいません。

表向きは、ウクライナの政治体制がNATOが求める民主主義体制の基準を満たしていないため、加盟は認められないとしていますが、本当の理由は単にロシアのことを恐れているだけです。

ロシアとしても、自国の安全保障上、ウクライナのNATO加盟を認めるはずがありません。
現に、この度のウクライナ戦争も、ウクライナの自由主義陣営への急激な接近が端緒となっているといえます。
ロシアが、NATOの東方拡大を自国に対する脅威とみなしている以上は、ウクライナがNATOに加盟することはできないでしょう。
  



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