囲碁・本因坊戦の賞金減額・棋戦縮小の背景を将棋との比較で分かりやすく説明

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囲碁も将棋もする筆者が囲碁・本因坊戦の賞金減額・棋戦縮小の背景を将棋との比較で分かりやすく説明します。

囲碁の七大タイトルで最も歴史が古く権威がある「本因坊戦」が来期となる第79期から大幅に規模を縮小・賞金も大幅減額してして実施されることが日本棋院、関西棋院と主催の毎日新聞から発表されました。

囲碁の七大タイトルの中でも本因坊は、名人戦、棋聖戦と並んで長らく3大タイトル戦と位置づけられてきましたので衝撃は大きいです。

第79期から本因坊戦は、以下のように変更されます。



第79期からの本因坊戦の変更点

①挑戦者の決定方法をこれまでのトップ棋士による総当たりのリーグ戦からトーナメント形式に変更。

②挑戦者がタイトル保持者に挑む「挑戦手合」を持ち時間8時間の1局2日制の七番勝負から1日制の五番勝負に変更。

③優勝賞金を2800万円から850万円に減額。

④優勝賞金額等による七大タイトルの中での序列が3番目から5番目に降格

ちなみに優勝賞金の850万円は、女流将棋の最高峰のタイトル白玲戦の1,500万円の約半額ですので衝撃は大きいです。

七大タイトルの中でももっとも歴史が古い本因坊戦の賞金額の減額をはじめとした変更は、プロ囲碁界だけでなく、囲碁愛好家にも大きな反響をよんでいます。

今回の本因坊戦の賞金減額に伴い、囲碁タイトルの賞金額による序列は以下のようになります。

来季の囲碁タイトル戦の賞金額と序列 ※女流棋戦は除く

①棋聖戦
読売新聞社 他主催
優勝賞金 4300万円

②名人戦
朝日新聞社 他主催
優勝賞金 3000万円

③王座戦
日本経済新聞社 他主催
優勝賞金 1400万円

④天元戦
新聞三社連合 他主催
優勝賞金 1200万円

⑤本因坊戦
毎日新聞社 他主催
優勝賞金 850万円

⑥碁聖戦
新聞囲碁連盟 他主催
優勝賞金 800万円

⑦十段戦
産経新聞社 他主催
優勝賞金 700万円



本因坊戦の賞金減額・棋戦縮小の背景

本因坊戦の賞金減額・棋戦縮小の背景は、端的に言えば、構造不況の新聞業界にあって、主催者の毎日新聞の経営状況がかなり厳しいからです。
かつては、新聞業界の優良企業の代表格であった朝日新聞でさえ、購読部数大幅減少等により、大幅赤字決算となっています。

数年前に毎日新聞は、経営不振から大幅減資を実行し、会社としては中小企業化しています。

構造不況以前から、経営状況が全国紙の中で最も振るわない状況が続いていた毎日新聞だけに、伝統と権威がある囲碁本因坊戦といえども聖域視できず棋戦規模縮小・賞金大幅減額ということに至ったのだと推察されます。

実際、かつては単独で主催していた将棋名人戦もかなり前から、朝日新聞との共催となっています。

囲碁も将棋も最大のスポンサーは新聞ですが、若い世代ほど新聞を読まなくなっていますので、毎日新聞が会見で”元に戻せるような状態になれば戻したい”ということについては、期待できそうにないと思います。

囲碁と将棋タイトル戦の現状と比較

筆者は将棋の方が長いですが、正直なところ藤井聡太7冠のような天才が登場していなければ、現在は囲碁界と同じような状況に追い込まれていたのではないかと思います。
藤井聡太7冠が中学生で史上最年少プロ将棋棋士となった2016年頃は、将棋界はソフト指し疑惑騒動の渦中にありました。

疑惑が疑惑だけにあるスポンサーから打ち切りを打診されたという話もあったようです。
そんな将棋界の暗いムードが藤井7冠というスーパースターの登場で一掃、将棋ブーム到来で将棋タイトル戦への注目度も飛躍的に向上。

そうしたこともあり、新聞社以外で初となる大手菓子メーカーの不二家や不動産業のヒューリックが将棋タイトル戦のメインスポンサーになりました。

また、将棋の有力タイトル戦の竜王戦等にも野村證券、セコム、大和証券等の多数の有力企業が準スポンサーとなる等、スポンサーの多社化が一挙に広がっています。

その点、囲碁は以前として新聞社に対するスポンサー依存度が高いままです。
囲碁も将棋のように新聞社以外にスポンサーを広げていかないと第二の本因坊戦のような事態が起こりうるのではないかと思います。



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