将棋8大タイトルの永世称号とは?藤井永世は最短でいつ誕生?

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2023年将棋界の最も大きな話題は、藤井聡太竜王・名人が将棋界の8大タイトル(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、叡王)を全て獲得するかどうかにあります。

この将棋のタイトルを一定期間保持すると、永世称号を得ることがしきたりになっています。

そこで、将棋8大タイトルの永世称号と藤井永世はいつ誕生するのかについて、アマ三段の筆者が分かりやすく説明します。



永世称号とは?その起源

この8大タイトルには、それぞれタイトル防衛・獲得した年数に応じて、永世称号、王座の場合は名誉称号が授与されることになっています。

永世称号は、将棋タイトルで最も長い歴史と権威を誇る名人戦が起源となっています。

名人戦で一定期間、名人位を保持した棋士に対して、原則として引退後に永世名人を名乗れるようにしているしきたりが他のタイトル戦にも広がっていき、現在に至っています。

何しろ、初代永世名人の大橋宗桂は、1612~1634に名人位を保持しているのですからその歴史の長さには驚かされます。

ただ、初期のころの永世名人は世襲制で、茶道や華道の家元のような存在でした。

現在の実力制による永世名人は、1949年に永世名人資格を得た木村義雄名人からです。

永世称号の本家ともいえる永世名人を名乗れるのは、通算5期にわたり名人位を保持することが条件となっていますが、その取得条件は以下のようにタイトル戦によって異なります。

永世称号の取得条件・これまでの取得者

永世称号をもっとも多く保持しているのは、羽生九段の7つです。
叡王戦は、まだ歴史が浅いため永世称号を得た棋士はいません。

神武以来の天才と称された”ひふみん”こと加藤一二三九段が永世称号を一つも得ていないのが意外です。

永世竜王(連続5期もしくは通算7期)
取得者:渡辺明、羽生善治

永世名人(通算5期)
取得者:木村義雄、大山康晴、中原誠、谷川浩司、森内俊之、羽生善治
※永世名人については、実力制となった木村義雄14世名人以降

永世王位(連続5期もしくは通算10期)
取得者:大山康晴、中原誠、羽生善治

名誉王座(連続5期もしくは 通算10期)
取得者:中原誠、羽生善治

永世棋王(連続5期)
取得者:羽生善治、渡辺明

永世王将(通算10期)
取得者:大山康晴、羽生善治

永世棋聖(通算5期)
取得者:大山康晴、中原誠、米長邦雄、羽生善治、佐藤康光

永世叡王(通算5期)
取得者:該当者なし



もっとも永世称号を獲得するのが困難なタイトルは?

上記のようにタイトル戦で永世称号を得ることのできる条件は異なります。

そのタイトルを獲得する困難さを考慮せず獲得条件についてのみ8大タイトルで比較すると最もハードルが高いのは、永世棋王です。

永世棋王の連続5期という条件は、あくまでも連続して5期にわたり、棋王位を保持しなければなりません。

連続ではなく通算で5期保持すれば、永世称号を得られる名人位よりは、ハードルが高いといえます。

ただ、8大タイトル間でそのタイトルを獲得する困難さは異なります。

名人位の場合、タイトルを獲得するにはまず、プロ将棋の最高峰のリーグ戦であるA級順位戦のメンバーにならなくてはなりませんが、そもそもA級にまで上り詰めることが難関です。

他のタイトル戦がどの棋士でも予選から連勝を重ねれば、タイトル獲得できるのに対し、名人戦は、A級順位戦参加者だけが名人への挑戦権が得られる仕組みになっています。

プロ棋士にとってA級棋士になることは最大の目標・憧れですし、A級棋士は一流棋士・トップ棋士を意味しますので別格扱いされます。

ですので、名人位の永世称号取得資格は通算で5期と他のタイトルに比べて緩いように思えますが、A級に昇級してさらに名人位を奪取する困難さを考えると永世名人位が永世称号を獲得するのが困難なタイトルと言えそうです。

名人位だけ呼び方が違う永世称号

永世称号の起源となった名人は、永世称号を得ると引退後に以下のように単に永世名人ではなく、〇〇世名人と名乗ります。

他のタイトルが、単に永世竜王、永世棋聖、永世王将と名乗るのに対して、大げさな感じもします。

谷川十七世名人は、現役ですが十七世名人と名乗っています。

以前は引退後に名乗っていましたので異例です。同じ現役でも羽生十九世名人とは名乗っていません。

ですので、以前ほど、引退後に名乗るということにこだわらなくなっているようです。

歴代永世名人一覧(実力制名人以降)
十四世名人 木村義雄

十五世名人 大山康晴

十六世名人 中原 誠

十七世名人 谷川浩司

十八世名人 森内俊之

十九世名人 羽生善治

藤井名人が通算5期保持すれば、二十世名人ということになります。




藤井7冠の永世称号取得は最短でいつ?

2023年8月現在の藤井7冠のタイトル保持状況は以下の通りです。

王位と棋聖は、ともに4期獲得していますので2024年にどちらかのタイトルを防衛すれば永世称号を初めて得ることになります。

棋聖戦は王位戦より少し早く6月から7月にかけて行われますので、最短で2024年7月には、藤井7冠初となる永世称号が実現しそうです。

それにしてももし、藤井7冠が永世称号を獲得したら、大学生の年齢で永世称号を得ることになりますので、これまたあり得ない記録ということになります。

藤井7冠の強さを考えると相撲界で特別に強い横綱にだけ認められる一大年寄りのような特別の称号が与えられるようになるかもしれません。

★名人
1期

★竜王
2期

★王位
4期

★王将
2期

★棋聖
4期

★棋王
1期

★叡王
3期




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