傀儡(かいらい)国家・政権とはカンボジアと韓国・北朝鮮を例に分かりやすく説明します

傀儡(かいらい)国家・政権とはどんな意味？

そもそも傀儡とは、操り人形を意味しますが、他者の手先となって思いのままに利用されている人物や組織の比喩に使われることがあります。

ですので、傀儡(かいらい)国家・政権とは、一見、独立した主権国家にみえるものの、実態は他国の言いなりに政権・国家運営がされており、自国民の利益より支配国家の利益を優先するような国家のことを意味します。

当然ですが、傀儡国家・政権は、自らを傀儡国家・政権とは言いません。

あくまでも、第三国から見て、”あの国は傀儡国家・政権だ”という見方をされ、それが国際的に認知されていきます。

傀儡国家・政権と国際的に認知されるとまともな国家として看做されなくなり、他国と通常の外交関係を維持することが困難になる等、不利益を被ることになります。

傀儡国家・政権の主な実例としては、以下のようなものがあります。

★アジア
・満州国
当時の大日本帝国が満州事変によって樹立した傀儡国家。
1932年から1945年まで、中国東北地方を中心部として存在した。

故安倍晋三元首相の祖父である岸信介元首相は、満州国の経済官僚として満州国の経済運営を主導していました。

・ベトナム国（1949年 – 1955年）
ベトナムを植民地支配していたフランスによる傀儡国家

・カンボジア人民共和国（ヘン・サムリン政権）
カンボジア内戦中の1979年から1992において、内戦に介入した隣国のベトナム社会主義共和国の影響下におかれ、国際的にはベトナムの傀儡国家・政権と看做されていました。

ヘン・サムリン政権は、国際的にまともな国家と看做されず、外交的にも相手にされていませんでした。

特に中国は、ヘン・サムリン政権の保護者的存在だったベトナムとの対立を背景に強硬な姿勢を示していました。

★ヨーロッパ
ナチスドイツ全盛期にヨーロッパには多くの傀儡国家・政権が存在しましたがナチスドイツの敗北により短期間で消滅しました。

フランス共和国のヴィシー政権（1940年 – 1944年）

スロバキア共和国（1939年 – 1944年）

クロアチア独立国（1941年 – 1945年）

ノルウェーのクヴィスリング政権（1943年 – 1945年）

北朝鮮は、韓国との関係が悪化するとその時点での政権を傀儡一味と罵倒することがあります。

これは、朝鮮戦争で北朝鮮が単独で戦争を仕掛けたものの、勝利寸前にアメリカの介入により息を吹き返し、現在に至る韓国をまともな国家・政権と看做していないからです。

北朝鮮は、自分たちこそ朝鮮半島の全体の正当な国家であり、韓国の支配している領土は今も多くのアメリカ軍基地が置かれているアメリカによる傀儡国家・政権であるという認識が根底にあるからです。

ですので、北朝鮮が韓国を傀儡一味という場合、実際に韓国が傀儡国家・政権であるかどうかは別問題です。

つまり、韓国を北朝鮮が傀儡国家・政権と断定したとしても国際的には認知・浸透していませんので、韓国が外交的に不利益を被ることはありません。