頭取(とうどり)と社長・総裁の違い、意味や米国や中国での事例について分かりやすく説明します。
頭取(とうどり)とはどんな意味?
頭取(とうどり)とは、銀行の経営における代表責任者のことを意味します。
・頭取の語源・由来
頭取の語源・由来は、音楽の雅楽団で管楽器の首席演奏者を意味した「音頭取り」から。
「音頭取り」という表現は、歌舞伎等の他の古典芸能に広まっていきました。
明治時代に、横浜で現在の為替業務を専門とする会社横浜為替が設立された際に、その代表者を頭取と称したのがにおける初の頭取の事例になります。
ただ、横浜為替は、銀行というわけではありませんでしたので、現在の銀行に近い業態で頭取が登場したのは、明治期に設立された国立銀行です。
・国立銀行の初代頭取は渋沢栄一
国立銀行第一号となる第一国立銀行(現在のみずほ銀行)が設立され、その代表者が大河ドラマ”青天を衝け”にも取り上げられた
渋沢栄一です。
国立銀行というと国が設立されたとように思えますが、そうではなくて民間銀行に相当します。
要するに民間が国法に基づいて設立した銀行を国立銀行と称していました。
頭取の同義語・類語
頭取は、銀行の社長を意味しますから同義語は以下の通りです。
・頭取の同義語
代表取締役社長・CEO・総裁・理事長
英語ではプレジデントとなります。
類語となると本来の意味する集団のトップということになりますので以下のようになります。
・頭取の類語
頭、領袖、長、主席、首席
銀行でも頭取とはいわない事例
現在の銀行は、銀行法に従って、経営が行われています。
銀行法では、社の代表者を必ず頭取と呼べとは規定していませんので、現在も過去にも銀行であってもトップを頭取と呼ばない事例はあります。
・三井銀行の事例
三井住友銀行の前身の三井銀行は、日本有数の財閥、三井財閥のメインバンク・金庫番的な銀行として都市銀行でも上位行とされていましたが、その代表者は頭取ではなく社長としていました。
・りそな銀行の事例
りそな銀行は、旧都市銀行の大和銀行、埼玉銀行、協和銀行が合併して誕生しましたが、以降”銀行はサービス業である”と規定したことで代表者を社長と呼ぶようになっています。
・信託銀行の事例
信託銀行は、通常の銀行とは業務内容が異なることもあり、当初から代表者を社長としています。
・ネット銀行
セブン銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行等のネット銀行は当初から代表者を社長としています。
銀行ではなく金融機関に広げる以下のようになります。
金融機関で代表者を頭取とするのは、少数派です。・
・金融機関での代表者の呼称
日本銀行、国際協力銀行=総裁
信用金庫=理事長
証券会社=社長
生命保険=社長
証券会社=社長
ゆうちょ銀行=社長
銀行のトップは頭取でなく社長?
近年、大手銀行は、持ち株会社方式を採用しています。
三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループのように持ち株会社が中心となり、その傘下に銀行や証券会社等の金融機関が配置されるという経営体制を採るのが主流となっています。
例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループでは2023年9月現在、以下のような役員体制となっています。
三菱UFJフィナンシャル・グループの役員体制
代表者
取締役 代表執行役社長 グループCEO
亀澤 宏規
長島 巌 取締役
三菱UFJ信託銀行 社長
半沢 淳一取締役
三菱UFJ銀行 頭取
つまり、三菱UFJ銀行 頭取は三菱UFJフィナンシャル・グループではトップではなく、平取締役に過ぎないということです。
これは、組織的に三菱UFJ銀行が上場会社である三菱UFJフィナンシャル・グループの傘下にあるからですが、以前のような感覚で三菱系の銀行のトップというと三菱UFJ銀行 頭取ということになりますが三菱系の金融機関のトップは三菱UFJフィナンシャル・グループ社長ということになります。
実際、三菱UFJ銀行自体は非上場ですので、今の三菱UFJ銀行 頭取は、持ち株会社以前の頭取とは位置づけ・重みが異なるようになっています。
ですので、銀行のトップは頭取だけど持ち株会社の社長よりは下位の存在というのが現状です。
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