アジア大会2023(中国・杭州)に出場する日本代表囲碁チームメンバーとメダルの展望について、囲碁アマ初段のヘボの筆者が分かりやすく説明します。
中国・杭州で2023年9月から開かれる「第19回アジア競技大会」では、囲碁が競技種目として実施されます。
主催国の中国は囲碁をマインドスポーツに位置づけており、2010年の中国・広州大会に続いて囲碁を競技種目に採用しました。
日本代表囲碁チームメンバーは、タイトル保持者を中心に以下のトッププロ棋士に正式に決定されています。
2023中国・杭州アジア大会囲碁日本代表メンバー
・男子日本代表
個人戦
一力本因坊(26)、芝野虎丸名人(23)
団体戦
一力本因坊(26)、芝野虎丸名人(23)、井山裕太王座(34)、関航太郎天元(21)、佐田篤史七段(27)
・女子日本代表
藤沢里菜女流本因坊(24)、上野愛咲美女流立葵杯(21)、上野梨紗二段(17)
※女子は団体戦のみ実施
※上野梨紗二段は、上野愛咲美女流立葵杯の実妹
2023中国・杭州アジア大会囲碁競技種目・日程・参加国
・囲碁競技日程
2023年9月24日~10月3日
・競技種目
男子個人戦、男子団体戦(5人制)、女子団体戦(3人制)の3種目
参加国・参加者
日本の他に中国・韓国・中華台北(台湾)・香港・マカオ・マレーシア・タイ・モンゴル・シンガポール計10か国
参加者は男子54人、女子31人
2023中国・杭州アジア大会で日本代表はメダルを獲得できるか。
かつては、日本の囲碁のトップ=世界の囲碁のトップという位置づけでしたが、近年は中国や韓国の後塵を拝しています。
実際、2010年の中国・広州大会では、韓国が3つの金メダルを独占。中国は銀メダル3つ。日本は、男子団体の銅メダル1個という成績に終わっています。
日本では、圧倒的な強さを誇る井山裕太王座でさえ、世界ランキングで10位にも入れないような状況です。
将棋に例えれば、史上最強といわれる藤井7冠より強い棋士が中国や韓国に複数いるといったところでしょうか。
韓国・中国にはそれぞれ、世界ビッグ4と言われる圧倒的に強い棋士がいますので、特に男子個人戦でメダルを獲得するのは簡単ではないと思います。
むしろ、男性棋士ほど実力に差がない女性棋士の方がメダル獲得の期待ができそうです。
藤沢里菜女流本因坊は、女子の世界メジャー大会呉清源杯でベスト4に進出しており、世界的にもトップクラスの実力があります。
さらにハンマーパンチとの異名をとる上野愛咲美女流立葵杯(21)が実力を発揮すれば、上位進出・メダル獲得が有望になる思います。
囲碁がスポーツ競技種目になった背景
囲碁のような1対1で行われるゲームのうち、チェスは、本場の欧州では早くからスポーツの1種として扱われてきたという歴史があります。
囲碁をスポーツとして認定されること等を目的に日本棋院、関西棋院それに日本ペア碁協会が合流して設立した全日本囲碁連合は、日本オリンピック委員会の承認団体となっています。
囲碁の発祥地である中国・北京オリンピックで、囲碁が競技種目となることを目指していましたが、それは叶いませんでした。
しかし、2010年の中国・広州アジア大会では、初めて、囲碁が競技種目として採用・実施されました。
中国・広州アジア大会に、10人のプロ棋士が日本代表選手として参加しました。
囲碁のプロ棋士が初めてスポーツ大会に参加した歴史的な出来事でした。
2023中国・杭州アジア大会の囲碁プロ棋士の国際的な大規模なスポーツ競技会への参加は、2010年以来です。
以下のような囲碁以外の知能ゲームもスポーツ大会に参加しています。
囲碁以外のゲームのスポーツ大会への参加状況
カタール・ドーハ2006年アジア競技大会
チェス
中国・マカオ2007年アジアインドアゲームズ
チェスとシャンチー
インドネシア・ジャカルタ2018年アジア競技大会
コントラクトブリッジ
尚、将棋については、日本のみにプロ棋士がいるうえ、キャラクターが漢字で表記されていることもあり、国際的な普及では囲碁の足元にも及びません。
また、中国象棋のような類似ゲームがあることもネックになっています。
ですので、現状では藤井7冠が世界の将棋の強豪と対局ということはありえません。
ただ、将棋はウクライナ等の東欧圏を中心に愛好家が増えつつありますので、長期的には将棋の競技種目化の可能性はあるのではないかと思います。
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