戒律が世界で最も厳しい宗教5選とは?わかりやすく説明します

政治用語の違い

宗教にはそれぞれ「戒律」というものがあることをご存知でしょうか?
戒律とは簡単にいうと、ルールや決まりごとのようなものです。

もう少し詳しく説明すると、仏のいましめを自発的に守ろうとする心の働きを「戒」といい、
僧侶が守らなければならない集団規則で罰則があるのを「律」といいます。

戒律とは、これら2つの意味を持つ文字をあわせた言葉で、
一般的には信者が信仰生活において守るべき規律・規則となります。

いわば宗教団体において戒律は、団体の秩序を保つためのルールなのです。

ルールとなれば当然守らなければいけませんが、
中には私達日本人には厳しすぎると感じる戒律もあります。

今回は世界で最も厳しい戒律がある宗教を5つご紹介いたします。



イスラム教

どんな宗教なのか?

イスラム教とは「アッラー」と呼ばれる唯一の神を信仰している、世界三大宗教の1つです。

アッラーはイスラム教の世界では、世界の創造神で全知全能の審判者とされており、
アッラーを信仰する人々は「ムスリム」と呼ばれています。

有名なムスリムといえば、教科書でご存知の預言者「ムハンマド」ですね。

イスラム教の聖典「コーラン」は、ムハンマドが40歳の時に瞑想していた洞窟で
初めて聞いた神の声を、享年63歳まで聞き続け1冊の書にまとめたものです。

ムスリムは聖典「コーラン」を何よりも神聖なものとし、大切に扱っています。

戒律について

イスラム教の戒律は他の宗教と比べるとそこまで厳しくはないのですが、
食事の面などでタブーが存在するため、イスラム教徒と関係を構築する際には注意が必要となります。

有名な戒律は豚肉を口にしてはいけない、というものです。

加工食品やエキス、油脂、調味料や添加物に豚が含まれる場合もタブーとなるため、
イスラム教徒が安心して食事できるように、
一部のレストランや施設ではハラール食が普及しています。

また1日5回、5分程度の礼拝が義務付けられていて、
決められた時間や場所、方法が定められているのです。

さらに女性は肌の露出を控える必要があるため、
ビジャーブというスカーフを着用しなければなりません。

その他にも異性との接触をさけたり、犬を遠ざける習慣があります。

イスラム国などのニュースで、ムスリムは怖いというイメージが先行しがちですが、
実際はほとんどの方が優しく温和な人たちばかりです。

宗教人口も多いため、身近に接する機会がたくさんあることでしょう。

今回紹介した戒律を少しでも頭に入れておけば、
お付き合いもスムーズにできると思います。



ジャイナ教

どんな宗教なのか?

ジャイナ教とは始祖マハーヴィーラが創設した非暴力、
不殺生の戒律を厳守し、苦行と禁欲主義を徹底したインドの宗教です。

世界には500万人ほど信者がいると考えられており、そのほとんどはインド人です。

仏教と同じ時代、同じ地域に生まれた宗教ですが、
仏教とは異なりインド以外の地には、ほとんど伝わっておりません。

しかし2500年もの間インドで信仰され、
多方面からインド文化に影響を与え続けている宗教でもあります。

戒律について

ジャイナ教には数多くの戒律が存在しますが、
中でも5つの大禁戒とよばれる戒律は特に重要とされています。

・生き物を傷つけない
・虚偽の言葉を口にしない
・他人のものをとらない
・性的行為を一切おこなわない
・何も所有しない

大禁戒の中で最も重要なのは「生き物を傷つけない」という戒律です。

動物や植物はもちろんのこと、大気中の微生物や虫までも
吸い込んで殺さないように口を布で覆う徹底ぶりです。

殺生を禁止しているため食生活は菜食主義で、
特に厳しい信者は断食を修行に取り入れています。

その他にも人を傷つける言葉を発したり、
心の中で思うことすら罪となりますので、
現存している宗教の中でもかなり厳しい部類に入ると考えられます。

まさに己を極限までコントロールできる人のみが信仰できる宗教ではないでしょうか?




マニ教

どんな宗教なのか?

マニ教とは3世紀前半に、バビロニアのマニによって創設された古代ペルシャ宗教です。

多種多様な民族や言語、文化が入り混じったバビロニアで生まれ育ったマニは、
様々な宗教を取り入れてマニ教をつくりました。

ゾロアスター教やキリスト教、仏教の内容を取り入れているのが特徴です。

かつては北アフリカ・イベリア半島から中国にかけてユーラシア大陸一帯まで
広く普及しましたが、イスラムの迫害を受けて衰退し、
13世紀にはモンゴル帝国の侵入により消滅しています。

ほとんど信者はいないのでは?と思われますが、
中国の福建省泉州市にマニ教の寺院が現存しているため、信仰は続けられているようです。

戒律について

マニ教の戒律では、食事や服装、性行為など生理的な面が厳しく制限されます。

不殺生の戒律があるため食事は原則菜食主義となりますが、
植物なら何でも食べられるわけではありません。

植物の根を抜くことは殺生となるため、
根菜類を口にすることはできないのです。

また物品の所有も禁じられており、
服装も決められた白い服のみとなります。

さらに食事は一日一食の菜食のみ、それと週に一度の断食もあるため、
マニ教に入ったら食事の楽しみとはほぼ無縁の生活となるでしょう。

もちろん性行為と飲酒も禁止です。

その他には1日に4~7回の祈祷の義務や、
信者相互での告白の儀式も課せられたそうです。

マニ教の教義は善と悪の二元論が根本となっており、ものすごく簡単にいえば、
人の中には悪い面と良い面があるため禁欲的に生活することで、
内なる悪を追い出そうする考えだそうです。

心の中の悪に打ち勝つことこそが救済への道のりになるため、
信者は厳しい戒律を粛々と守っているのです。



ゾロアスター教

どんな宗教なのか?

ゾロアスター教は紀元前7世紀にゾロアスターによって創設されたといわれる宗教です。

ただ起源については紀元前1200年から紀元前7世紀と幅があり、
未だに確定はされておりませんので、あくまで目安となります。

現在でも世界中に約5万人の信者がいるとされ、
そのほとんどはインドのムンバイに住んでいます。

有名なゾロアスター教徒だと、英国ロックバンド「QUEEN」のヴォーカルである
フレディ・マーキュリーが思い浮かびます。

彼は幼少期をムンバイで過ごした後、一家でイギリスへ移り住んできました。

ゾロアスター教の教義は、光と闇、善と悪という「二元論」を基本としており、
光と善の神「アフラ・マズダ」と闇と悪の神「アングラ・マインユ」の戦いが続いていると考えられています。

最終的に、悪は「最後の審判」によって滅び、善は天国にいけると信じているため、
ゾロアスター教徒は、最後の審判の日に備えて清く正しい生活をしているのです。

この「最後の審判」という発想は、ユダヤ教やイスラム教、キリスト教にもみられます。

歴史的にはゾロアスター教の方がはるかに古いですので、ゾロアスター教の影響を受け、ユダヤ教・イスラム教・キリスト教にも神による「最後の審判」が重要な事項として明記されたという見方が有力です。

そういう観点から、ゾロアスター教は世界的に影響を与えた初めての宗教ということができます。

ゾロアスター教はペルシャ(現イラン)に多くの信者が居たとされていますがイスラム教の浸透により、
現在ではごく少数の信者にとどまっています。

戒律について

ゾロアスター教には特に食事や生活習慣などが制限される戒律はありません。

ただし葬式に関しては、少し恐ろしい戒律があります。

それが「鳥葬」です。

ゾロアスター教徒が亡くなった後は、葬儀用の塔の上に遺体を放置し、
自然に任せて鳥葬、風葬させる決まりがあるのです。

これはゾロアスター教の教えで、死は悪神によってもたらされるため、
地上を不浄なもので汚さないようにするためとされています。

インドが都会化してきた現代では、高層マンションなどが急増していったため、
鳥葬はせずに埋葬する場合もあります。

このように時代の流れにより戒律が守りにくくなっている宗教ですが、
近年さらに衰退の一途をたどっています。

それはゾロアスター教が他の宗教に対して、
排他的な面を持っているからだ言われています。

ゾロアスターの礼拝所や神殿には信者以外は立入禁止ですし、
異教徒の女性と結婚するときは、女性に対し改宗を求める必要があります。

排他性が厳しいせいか年々信者数は減少しており、
存続が危ぶまれている宗教の一つとなっているのです。



モルモン教

どんな宗教なのか?

モルモン教の正式名称は、末日聖徒イエス・キリスト教会といい、
1830年にアメリカ人のジョセフ・スミス・ジュニアによって創設されました。

現在、世界176カ国、約1500万人が信仰しているとても大きな宗教団体で、
ユタ州ソルトレイクシティに街まで作っています。

正式名称に「イエス・キリスト」の文字が入っていることから、
キリスト教の宗派だと思われますが、以下のような理由により、
ほとんどのキリスト教会からカルト宗教の扱いを受けています。

・聖書ではなく、モルモン教独自の「モルモン書」を聖典としている
・キリストの象徴的教義である三位一体を否定している

三位一体とは要するに、神である父とキリストである子、
そして聖霊は1つの神が3つの姿となって現れたものであるというキリスト教の考えです。

キリスト教の基本的な考え方なので、それを否定してしまえばカルトとみなされるのも無理ありません。

ちなみにモルモン教という呼び名は、聖典「モルモン書」からきています。

戒律について

比較的新しいモルモン教ですが、戒律はわりと厳しめで、
食生活やプライベートが細かく制限されています。

まず嗜好品であるコーヒーや紅茶などのカフェインを含んだ飲料や、
タバコやアルコールなどは禁止です。

これはカフェインの摂取が健康に害を与えるのと、
自律神経をむやみに刺激するものや依存症にかかる物質を避けるためといわれています。

プライベートでは、婚前交渉や夫婦間以外での性交渉、
自慰行為、ポルノ鑑賞、避妊が禁止されています。

婚前交渉や夫婦間以外での性交渉が禁止なのはわかりますが、
自慰行為とポルノの禁止は、ティーン層の信者にとってはかなりきつい戒律なのではないでしょうか?

その他には、月の最初の日曜日に断食を行い、
信仰を述べ合う「証会(あかしかい)」に参加しなければなりません。

終わった後もレジャーやショッピングなど自分の楽しみのために時間を使うことは、基本的に許されないそうです。

さらに収入の10%はモルモン教に献金する義務があり、
集めたお金は運営資金として使われます。

これらの戒律を破った場合は、ビショップと呼ばれる支部会長にすべての事実を話し、
場合によっては罰を受ける必要があります。

最も重い罰は「破門」で、これをされてしまうと死後、
天国へ行けなくなってしまうのでモルモン教徒は一番恐れているのです。

まとめ

さて今回は、戒律が厳しい宗教を5つ紹介いたしました。

その1:イスラム教
その2:ジャイナ教
その3:マニ教
その4:ゾロアスター教
その5:モルモン教

無宗教者が多い日本人には戒律について、少し共感しにくい内容もあったかも知れません。

しかし、これから日本で働く外国人がさらに増えるであろう状況において
、相手の宗教に理解を示すのはとても大切なことだと思います。

今回の記事を読んで少しでも宗教を信仰する人々の意義や
意図を理解するための一助となれば幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。




コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました