愛の不時着で登場した総政治局長という役職。
ジョンヒョクの父であるリ・チュンロルは、朝鮮人民軍総政治局長です。
リ・チュンロルへの他の人物の振舞や態度から、朝鮮人民軍総政治局長は相当の地位にあることが窺えます。
何しろ、ジョンヒョクの上司の大佐でさえ、あの態度ですから。
大佐といえば、どの国の軍隊でも1目置かれる地位にあります。
その大佐より朝鮮人民軍総政治局長は、はるかに偉いは理解できるのですが、実際にどれくらい偉くて、どんな地位なのか調べてみました。
朝鮮人民軍総政治局長とは?
朝鮮人民軍総政治局長は、北朝鮮の軍隊である朝鮮人民軍の政治将校のトップです。
北朝鮮のような共産主義体制の国では、軍隊は、共産党(北朝鮮の場合は朝鮮労働党)の軍隊という位置づけになります。
共産党の軍隊特有の職位として、”党が軍人を監視”することを目的とした政治将校という役職があります。
軍人というと銃をかついだり、戦車に乗って進軍するというイメージを抱きがちですが、政治将校は、ピストルも持たず、実際の戦闘に参加することはありません。
ちなみにこの政治将校という職位は、世界初の共産主義国家旧ソビエト連邦の軍隊で初めて導入されました。
職務内容は、”軍人出身の幹部が党の命令に従っているか監視・指導”、”勝手に戦闘行動を起こしていないか命令系統の管理・監視”等で企業でいえば、人事部長か総務部長のような存在です。
実際、最前線の軍人が大規模な軍事作戦を行ったり、軍隊を大移動するには、総政治局長の承認なしには実行できません。
このように、朝鮮人民軍総政治局長は、朝鮮人民軍全軍人に対する監督権を持つ重要な役割を果たしており、常に北朝鮮で首脳に近い地位にあり、朝鮮人民軍ではトップ扱いの職位になります。
過去20年の歴代の朝鮮人民軍総政治局長は以下の通りです。
歴代の朝鮮人民軍総政治局長
趙明禄(1995年10月 – 2010年10月)
崔竜海(2012年4月 – 2014年4月)
黄炳瑞(2014年5月 – 2017年末から2018年初頭)
金正覚(2017年末から2018年初頭 -2018年5月)
金秀吉(2018年5月 – 2021年1月)
権英進(2021年1月- 2022年6月)
鄭京擇(2022年6月 – )
趙明禄氏は在任中に当時の金正日総書記の名代として、訪米し、クリントン大統領に面会、単独で会談しています。
崔竜海氏は、2023年現在も金正恩総書記の側近として、北朝鮮の党・国家首脳に名を連ねています。
朝鮮人民軍総政治局長は、トップの名代になったり、退任後も党・国家首脳に名を連ねる等、北朝鮮の政治的な序列ではトップ5には位置する権力者の地位にあります。
朝鮮人民軍総政治局長は、日本ならどの地位?
北朝鮮は朝鮮労働党一党独裁体制による国家なのに対し、日本は自民党や立憲民主党等、複数政党制により、国家が運営されています。
ですので、朝鮮人民軍が朝鮮労働党の軍隊なのに対し、自衛隊は、国の軍隊で、自民党の軍隊というわけではありません。
従って、自衛隊総政治局長のような政治将校は存在しません。
朝鮮人民軍総政治局長が、トップ5位にまではいる役職という観点から考えると内閣総理大臣を序列1位とする日本では、内閣官房長官くらいの地位にあるといえそうです。
まとめ
韓国ドラマ「愛の不時着」に登場するジョンヒョクの父の朝鮮人民軍総政治局長は、実在する職名で、朝鮮人民軍のトップの地位にあります。
現在の北朝鮮国家全体でも政治的な序列で5位にまでに入る、党・国家首脳に相当する権力者です。
日本の国家・権力機構では、内閣官房長官くらいの地位にあるといえそうです。
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