衛星国とは何か?その定義・役割・歴史を具体例を交えてわかりやすく説明

ニュースなどではそこまで話題に上がることは少ない表現である「衛星国」という言葉。

衛星国とはどのような国を指すのか、そしてそれはどんな意味を持つのかについて、
衛星国の具体例を交えてわかりやすく説明していきます。



衛星国とは何か?

それではまず、衛星国とは何なのか。

その定義や衛星国というものができた背景、
今までの衛星国に関する歴史的な流れなどを説明していきます。

衛星国の定義

衛星国とは、独立国として認められているにもかかわらず、
他の国から政治的に影響を受けている国を指します。

つまり、衛星国とは、形式的には独立国ではあるものの、
特定の強国・大国の政治方針などには基本的に逆らうことができず、従っている国を指します。

ですが、その当事国が自分の国を衛星国と呼ぶことは絶対にありません。

衛星国という表現は、衛星国の背後にいる
ある強国と敵対する国々が侮辱的にその国を呼ぶときに使われます。

例えば、旧ソ連に実質的に主導下にあったモンゴルなどが衛星国に当たります。

衛星国が存在した背景とは?

衛星国という表現が出てきたのは、第二次世界大戦のころからです。

1944年のチャーチルの演説の中で枢軸国を指した
「敵国及びその衛星国」という表現が使われています。

実際、ルーマニアやスロバキア、ブルガリア、クロアチアなどの諸国が
第二次大戦時の枢軸国であるドイツとイタリアの衛星国と呼ばれていました。

第二次大戦時はドイツやイタリアは多くの国にとって敵国であったため、
それらの国に付随していた国を侮辱するような意味合いで
衛星国という表現が使われたのだと考えられます。



衛星国の役割

衛星国は主権国家として認められている国であるので、独立はしています。

その一方でソ連などの大国は自国の思い通りになる国を一つでも増やすべく
圧力をかけて衛星国をいくつか作りました。

その意味では、衛星国の役割は国として認められつつも、
実質的には大国からすると思い通りに操ることができる国なので、
その存在は貴重だったといえるでしょう。

イメージとしては、衛星国は「師匠には逆らえない弟子」のような国ということになります。

衛星国の主権はどうだったのか?

衛星国は独立国家として認められているので、
主権は保持していると世界的には認識されていました。

しかしながら、ソ連などのバックについている大国の意向を伺わなければいけなかったため、
バックの国が認めてくれなければ、単独で重要な政策は行うことができなかったため、
実質的には主権があったとは言い難い状況に置かれていました。

つまり、バックの大国・強国の意向に反しない限りは、ある程度、自由に政治を行える、
というのが衛星国の立ち位置だったと言えます。

衛星国が減少した理由

衛星国が減少した最大の理由はソ連の崩壊にあります。

第二次世界大戦以降はソ連を中心とする東ドイツやポーランド等の欧州の共産主義国家を
日本やアメリカなどの西側諸国が衛星国と揶揄していましたが、
ソ連崩壊で衛星国の存在そのものがなくなったことが最大の理由です。



過去から現在までの衛星国一覧

ここまでは衛星国の概要を解説してきましたが、ここからは実際に衛星国だった国、
現在も衛星国である国を紹介していきます。

過去の衛星国一覧

 ・モンゴル人民共和国 
 ・ドイツ民主共和国(東ドイツ)
 ・チェコスロバキア社会主義共和国
 ・ハンガリー人民共和国
 ・ポーランド人民共和国
 ・ブルガリア人民共和国
 ・ユーゴスラビア連邦人民共和国
 ・ルーマニア人民共和国
 ・アルバニア人民共和国
これらの国はすべてソ連の衛星国として世界で認識されていました。

いかにソ連が力を持っていたかがわかります。
 

現在の衛星国一覧

 ・ベラルーシ
 ・カザフスタン
 ・アブハジア
 ・南オセチア
これらの国は現在ロシアの影響力が大きいということがあり、ソ連時代に倣って衛星国と呼ばれる場合がある国です。

ベラルーシは日本では白ロシアとも呼ばれていることからも
ロシアの影響力が大きいということがうかがえます。

北朝鮮は中国の衛星国か?

北朝鮮は、日本の敗戦後、独立。

その後、朝鮮戦争で韓国と対峙し、
一時優位に立ちましたがアメリカが参戦したことで形勢が逆転。

中国人民義勇軍の参戦により、ようやく独立を確保。

というような歴史的経緯から、北朝鮮は中国の衛星国ではとみる向きもあるようです。

ですが、北朝鮮は自国に中国軍を駐留させておらず、
また、核実験を中国の反対にもかかわらず強行する等、

中国のいいなりになっているとは言い難いです。

ですので、北朝鮮は中国の衛星国ではないといえます。

今回は独立国にもかかわらず、
他国の影響をもろに受けている国である衛星国について解説していきました。




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