■エルニーニョ現象の”エルニーニョ”の意味・由来
気象用語らしからぬ響きのあるエルニーニョとはそもそもスペイン語で”少年”を意味しますが、その本来の意味が変遷して、次第に”幼子イエス・キリスト”を指すようになりました。
中米に位置するペルーの漁師が、毎年クリスマスの頃に海水の温度が上昇することを何度も経験しており、その現象がクリスマスの頃に起きることを”誕生する”と解釈して、”このように海水の温度が上昇する現象を幼子イエス・キリスト”を意味する”エルニーニョ現象”と名づけたのです。
気象庁が毎年、クリスマスに近い時期になると”エルニーニョ現象が発生するかどうか”判断し、その予測を公表するのはこのためです。
■エルニーニョ現象の具体的な現象とは
①海水の温度の上昇
エルニーニョ現象が発生すると、ペルー沖から数千キロも離れた太平洋中部付近までの赤道域で海水の温度が通常より高くなります。
②雲の大量発生
海水の温度の上昇が進むと、海水が蒸発することで雲がどんどん発生し、絶え間なく増えていきます。
世界的には海水温が低いとされる東側の海域でも海水温が高くなるため、雲が大量発生していきます。
③異常気象のメカニズム
その結果、世界的に雲の発生具合が異常になり、気候の基礎条件のバランスが崩れることにより、大雨がふる地域がある一方で干ばつに見舞われる地域も増えるというように世界的に異常気象が引き起こされることになります。
■過去の主なエルニーニョ現象
★史上最大級のエルニーニョ現象
1997年から1998年にかけて、史上最大級とされるエルニーニョ現象が起きました。
この時は、海水温が最大で3.6度も高くなったという記録が残されています。
この影響で、インドネシアでは、干ばつが発生して、山火事の発生が相次ぎました。
日本では、冬場に「異常な高温」を記録、スキー場が雪不足に悩まされました。
★2014年~2016年のエルニーニョ現象
ゴジラ・エルニーニョと名ずけられた規模の大きなエルニーニョ現象が発生。
この時は、南米のチリで大雨が続き、砂漠が花畑に変わるほどの影響をうけました。
また、アメリカでは台風が同時に3つ発生する等の異常気象が確認されました。
2015年当時のニュースでは、このときのエルニーニョ現象を大きく伝えています。
日本でもこの時期、暖冬となりました。
2018年11月に日本の気象庁は”エルニーニョが発生した”とみられると発表しました。
意外なことに過去の記録から、エルニーニョ現象が起こると、日本では大雪が降ることが多いことがわかっています。
今年は”エルニーニョ現象で暖冬だから雪も少なくて楽”と思わないほうが良いかもしれません。
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