要因と原因の違いを具体的な文(新聞やニュースの事例)からわかりやすく解説



■ニュースでよく出てくる要因と原因

★原因が使われるニュースの例

昨日、都内で発生した集団食中毒について保健所は原因を調べていました。
その結果、ノロウィルスが原因と断定しました。

★要因が使われるニュースの例

今回のアメリカ中間選挙でトランプ政権の与党共和党が敗退した要因について、政治評論家は、①人種差別的な政策 ②相次ぐ高官の辞任等、人事のゴタゴタ③ロシア疑惑の3つが考えられると指摘しています。

■断定の原因、推測の要因

★原因は一つ、断定調の文体が特長

上記の例から、食中毒の原因がノロウィルスと断定とあるように原因の特長は、
”一つ”で文体も”断定しました”というように曖昧さがない文に用いられることが特長です。

食中毒以外で身近な例ですと、消防庁と警察の合同調査によれば、昨日の火事の原因は、”風呂の空焚き”と断定しました。というような文体になります。

つまり、原因は一つしかないので、”原因は風呂の空焚きかもしれない”というような曖昧な表現には馴染まないのです。

★要因は複数、推測調の文体が特長

上記の例から、与党共和党が敗退した要因について、政治評論家は、①人種差別的な政策 ②相次ぐ高官の辞任等、人事のゴタゴタ③ロシア疑惑の3つが考えられると指摘しています。”というように推測調の文体に用いられることが特長です。

つまり、要因は原因と異なり、一つではない上、推測も含まれてきますので、どうしても”考えられる”というように原因に比べ含みを残すような文に使われることが通例です。
別の言い方をすると原因は決定的、要因は推測的という性格をもつことが違いです。

ですので要因の中には、要因でないものも含まれる可能性がある点で、ある事象と決定的な関係があることが判明した原因に比べ、事象との関係性が弱いということになります。


■バス事故にみる要因と原因の使い方

バス事故にみる要因と原因の使い方は、以下のようになります。
昨日起きたスキーバスの事故の原因について、警察は、”運転手の居眠り運転”が原因であると断定しました。

バス会社の労働事情に詳しい専門家は”今回の運転手の居眠り運転”の要因として、”無理な運転シフト”、”休憩時間の不足”、”複数の運転手を配置することの不徹底”を指摘しています。

”運転手の居眠り運転”がバス事故の原因ということはわかったが、じゃなぜ”居眠り運転したのか”という疑問に対して要因が用いられるのです。

■個別の事象に馴染む原因と一般的な事象に馴染む要因

★個別の事象に馴染む原因

新聞でも社会面に目を通せば、”火事の原因”、”食中毒の原因”等○○事故の原因というように”原因”が用いられる記事が多いことに気がつかれると思います。

これは、社会面が事故に関する情報がメインとなっているためということと、原因が
個別の事件ごとに異なるためです。

★大きな事象に馴染む要因

新聞で経済・政治面に目を通せば”景気減速の要因”、”内閣支持率が低下した要因”というように”要因”が用いられる記事が多いことに気がつかれると思います。

これは、経済・政治面では、国全体に関する情報がメインとなっているためということで国全体の景気というように扱う事象のテーマが大きいため、社会面における個別の事件のように”原因が一つ”ということがないためです。

その代わり、”景気減速の要因”について、経済評論家は、①最近の日経平均株価の下落②失業率の上昇③賃金の伸び悩みの3つを指摘しています。

というように原因に比べ、大きな事象に関わる文に使われやすいといえます。


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